2017年7月8日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #083

※動画は後日投稿します。

083
千載・巻十七
Senzai(waka)-shu, vol.17
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述懐百首の歌詠み侍ける時鹿の歌とてよめる──皇太后宮大夫俊成
a verse of deer, one of 100 verses expressing feeling.
世の中よ
道こそなけれ
思ひ入る
山の奥にも
鹿ぞ鳴くなる
よのなかよ
みちこそなけれ
おもいいる
やまのおくにも
しかぞなくなる
Yo no naka yo
Michi koso nakere
Omoi iru
Yama no oku ni mo
Shika zo naku naru.
世間から逃れる道はないものだなあ。思い詰めて分け入ったこの山の奥でも、悲しげに鹿が鳴いているようだ
From pain and sorrow all around
There’s no escape, I fear;
To mountain wilds should I retreat,
There also I should hear
The cry of hunted deer.
この俗世でいきていこうという覚悟
つらい世の中から逃れようと、山奥に分け入ったものの、そこでは物悲しく鳴く鹿の声が響き、このつらさから逃れるすべはどこにもないのだと実感して詠んだものである。
上二句で気持ちを言い切り、後にその思いに至った情景を情緒豊かに表現している。
晩年に人生を悟ったかのような印象を受ける歌だが、作者が20代のころの作である。このころはいよいよ戦乱が激しくなり、西行《歌086》をはじめとして、まわりの多くが仏の道に入った時期で、作者本人も出家を考えていたという。しかし、たとえ出家したとしても救われることはないと悟り、そのときのことを詠んだのがこの「世の中よ~」の歌だといわれている。
その意味では作者の人生の分岐点となった代表作といえるだろう。その後、91歳まで生きて大往生した俊成は、定家をはじめたくさんの歌人に歌の心を伝える和歌の大家となった。
Shunzei was a celebrated poet and nobleman in the reign of the Emperor Gotaba. He, however, gave up his position at Court and entered the church in the year 1176. He was the father of the writers of verses Nos. 94 and 97, and died in the year 1204, at the age of ninety-one.
皇太后宮大夫俊成 こうたいごうぐうのだいぶしゅんぜい SHUNZEI, A SHINTO OFFICIAL IN ATTENDANCE ON THE EMPRESS DOWAGER
藤原俊成(11141204)。権中納言俊忠(としただ)の三男で、はじめ顕広(あきひろ)といった。定家《歌097》は息子。承安2(1172)年皇太后(後白河院の皇后)大夫となり、62歳で出家した。法名は釈阿(しゃくあ)。
御子左家(みこひだりけ)の家学を継ぎ、西行と親交があり、「千載集」を撰した。伝統を重んじながら新風をとりいれた当代の代表的歌人で中古36歌仙の一人。歌学書『古来風体抄(こらいふうていしょう)』「正治奏状」があり、家集「長秋詠藻」がある。「詞花集」などに414首はいっている。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)

鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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