2017年7月11日火曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #086

※動画は後日投稿します。

086
千載・巻十五
Senzai(waka)-shu, vol.15
love
月前恋と云へる心を詠める──円位法師
given theme of love in front of the moon.
歎けとて
月やはものを
思はする
かこち顔なる
わが涙かな
なげけとて
つきやはものを
おもわする
かこちがおなる
わがなみだかな
Nageke tote
Tsuki ya wa mono wo
Omowasuru
Kakochi-gao naru
Waga namida kana.
嘆けといって、月がもの思いをさせるのだろうか、いや、そうではない。それなのに月のせいにして、こぼれ落ちる私の涙であることよ
O’ercome with pity for this world,
My tears obscure my sight;
I wonder, can it be the moon
Whose melancholy light
Has saddened me to-night?
月のせいにした恋わずらいの涙
この歌は《歌023》の「月見れば~」と『伊勢物語』四段に見られる在原業平(ありわらのなりひら)《歌017》の「月やあらぬ春や昔の春ならぬわが身ひとつはもとの身にして」を本歌として「月前恋」の題で詠まれたものである。流れる涙を今見ている月のせいにしようと思うが、実際は、恋のもの思いのために流れる涙である。月のせいに見せかけようとしても、つくろいきれない涙で恋のつらさを表現した。
西行の残した数々の名歌のなかから定家がなぜこの歌を選んだのかについては、よくわかっていないが、月・涙・恋などの題材が有心を追及する晩年の定家の好みに合ったのかもしれない。ちなみに西行と親交が深かった俊成《歌083》はこの歌を「心ふかく姿をかし」として高く評価している。
西行の歌には自然の景に自分の内面を投影するようなものが多い。また、僧の身でありながら恋歌が多いのも特徴で、出家の要因が高貴な人との許されざる恋であったとの説もある。
Saigyo was a member of the Fujiwara family, an eccentric monk, and a famous poet, who lived A.D. 1115-1188. He was once in attendance on the Emperor, when a bird by fluttering its wings began scattering the blossoms of a plum tree. The Emperor directed him to drive off the bird, but the priest, with an excess of zeal, killed it by a stroke of his fan. On reaching home his wife told him that she had dreamt that she was changed into a bird and that he had struck her, and this incident made such an impression upon him, that he retired from Court, and spent the rest of his life in the church.
西行法師 さいぎょうほうし THE PRIEST SAIGYO
11181190。俗名は佐藤義清(のりきよ)。康清(やすきよ)の子で、鳥羽上皇に仕えて北面(ほくめん)の武士となり従五位下、左兵衛尉(さひょうえのじょう)となった。一族の憲康(のりやす)の突然の頓死などで明日をも知れぬ命を思い、頓世を念じていた彼は保延6(1140)年1015日、自分にまとわりつく4歳の娘を突然蹴倒して家を出た。この夜から嵯峨で僧になった。法名は円位。西行と号した。各地を放浪。
中古36歌仙の一人で、家集に『山家集』『西行上人集』『聞書集』などがあり、勅撰歌は『千載集』などに252首ある。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)

鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。







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