2017年7月15日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #089

※動画は後日投稿します。

089
新古今・巻十一
Shin-kokin(waka)-shu, vol.11
love
百首歌の中に忍恋──式子内親王
one of 100 verses of given theme of secret love.
玉の緒よ
絶えなば絶えね
長らへば
忍ぶることの
弱りもぞする
たまのおよ
たえなばたえね
ながらえば
しのぶることの
よわりもぞする
Tama no o yo
Taenaba taene
Nagaraeba
Shinoburu koto no
Yowari mozo suru.
私の命よ、絶えるならば絶えてしまえ。生きながらえていると、この恋を忍ぶことができなくなり、人に知られてしまうかもしれないから
The ailments of advancing years
Though I should try to hide,
Some day the thread will beak, the pearls
Be scattered far and wide;
Age cannot be defied.
忍ぶ恋のつらさに絶命を願う
「忍恋」の題で詠まれた。激しい恋心を歌い上げる名歌である。
いままで長い間この恋を隠してきたが、これ以上隠しきれない。生きていれば顔色に表れて世間に知れてしまう。それならいっそ命が絶えてくれれば……と頂点に達した強い思いを自虐的に表現することで、恋の切なさがより切実に伝わってくる。
「玉の緒」は魂を体につなぎとめておく緒のことで、命そのものを表す言葉である。『万葉集』のころに多く用いられた枕詞で、「長き」「短き」「絶え」「乱れ」などに掛かる。自らの命に叫ぶようにして訴えかけているところが、この歌のすべてといっても過言ではないだろう。
また、作者の式子内親王は定家との恋愛も噂される人物である。そのような背景を考えると、定家が式子内親王の歌のなかからこの「玉の緒よ~」を選んだことがとても深い意味を持つようにも考えられる。式子内親王はこのほかにも恋歌をいくつか残しているが、生涯独身であった。
The Princess was the daughter of the Emperor Goshirakawa, who reigned A.D. 1156-1158. In this short reign however, the country suffered from a very severe earthquake and a devastating civil war.
The second line is a play upon the two verbs tae, which are both pronounced the same, but which are written with different ideographic characters. The first couplet, taken literally, reads, ‘if the string of pearls (i.e. my life) break, I must bear it.’
[The illustration seems to show the Princess sitting down with a nobleman in attendance.]
式子内親王 しょくしないしんのう PRINCESS SHOKUSHI
生年未詳(1149という説も)、没年は1201。後白河天皇の第二皇女。平治元(1159)年に賀茂神社の斎院(さいいん)となり、准三宮(じゅんさんぐう)の位をうけたが、嘉応元(1169)年に病気のため任を辞した。
新古今集時代の女流歌人の第一人者で、俊成《歌083》、定家《歌097》と親交があった。中古36歌仙の一人で『式子内親王集』があり、勅撰歌は『千載集』などに146首ある。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉前期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇《歌099》の命で藤原定家《歌097》・藤原家隆《歌098》・寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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