2017年7月20日木曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #094

※動画は後日投稿します。

094
新古今・巻五
Shin-kokin(waka)-shu, vol.5
autumn
擣衣(とうい・砧のこと)のこゝろを──藤原雅経
referring a fulling block.
み吉野の
山の秋風
小夜更けて
故郷寒く
衣うつなり
みよしのの
やまのあきかぜ
さよふけて
ふるさとさむく
ころもうつなり
Miyoshino no
Yama no aki kaze
Sayo fukete
Furu sato samuku
Koromo utsu nari.
吉野の山の秋風が夜更けに吹き渡り、旧都吉野の差とは冷え込んで、衣を打つ砧(きぬた)の音が寒々と聞こえてくるよ
Around Mount Miyoshino’s crest
The autumn winds blow drear;
The villagers are beating cloth,
Their merry din I hear,
This night so cold and clear.
衣を打つ音が旧都に響く
冬を歌った坂上是則(さかのうえのこれのり)《歌031》の「み吉野の山の白雪つもるらし古里寒くなりまさるなり」(『古今集』)を本歌としている。これと比べると、同じ言葉を使いながらも、季節を秋に変更して衣を叩く砧の音を加えることで、古き吉野の里の寒さがしみじみと感じられ、より哀愁漂う歌となった。
砧は衣の布を叩いてやわらかくするための道具で、漢詩では兵役に出た夫の帰りを待つ妻を連想させる言葉である。
Masatsune was a son of the writer of verse No. 83; he died in the year 1221.
[He appears in the illustration to the sound of the villagers beating the cloth to make it supple.]
参議雅経 さんぎまさつね THE PRIVY COUNCILLOR MASATSUNE
藤原雅経(11701221)。刑部卿頼輔(ぎょうぶきょうよりすけ)の孫で、刑部卿頼経(よりつね)の二男。越前介、加賀介などを経て左近衛少将となり、『新古今集』の撰者となる。承久2(1220)年に従五位、同年12月参議となり、52歳で没。
定家の父俊成《歌083》に師事して歌を学び、飛鳥井家(あすかいけ)と称し、家集「明日香井集」がある。勅撰集には132首の歌がはいっている。飛鳥井流蹴鞠(けまり)の祖でもある。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉前期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇《歌099》の命で藤原定家《歌097》・藤原家隆《歌098》・寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』


動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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