2017年7月13日木曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #087

※動画は後日投稿します。

087
新古今・巻五
Shin-kokin(waka)-shu, vol.5
autumn
五十首歌たてまつりし時──寂蓮法師
presenting 50 verses
村雨の
露もまだ干ぬ
槇の葉に
霧立ちのぼる
秋の夕暮
むらさめの
つゆもまだいぬ
まきのはに
きりたちのぼる
あきのゆうぐれ
Murasame no
Tsuyu mo mada hinu
Maki no ha ni
Kiri tachi-noboru
Aki no yugure.
にわか雨が通り過ぎて、その露もまだ乾かない杉や檜などの葉に、もう霧が立ちのぼっていく秋の夕暮れであるよ
The rain, which fell from passing showers,
Like drops of dew, still lies
Upon the fir-tree needles, and
The mists of evening rise
Up to the autumn skies.
新古今の歌風を見事に表現した幽玄美
雨上がりの一瞬をとらえた、非常に平明な一首である。しかし、細部までしっかり描写された風景画を思わせるような、印象深い一首でもある。
夕暮れ、杉や檜などの常緑樹の林に降った通り雨が上がり、その露が乾かないうちに早くも霧が立ちこめてくる。そのわずかな時間の移り変わりを、視点はそのままに雨・露・霧という自然現象の変化によってとらえている。また、季節を秋としながらも、あえて紅葉ではなく「真木」という常緑の木を詠むことで色彩を抑え、霧をより鮮明に浮かび上がらせ、静寂に包まれた幽玄な世界を演出している。
作者の寂蓮は和歌の才能をかわれて藤原俊成(ふじわらのしゅんぜい)《歌083》の養子となった人物で、定家とともに御子左家(みこひだりけ)を代表する歌人であった。この歌もひっそりと静まり返った寂しげな雰囲気や、体言止めで余韻を残すあたりは、いかにも新古今風の和歌といえるだろう。
This verse is a good example of a picture verse, intended to call up the scene to one’s imagination. Jakuren was another of the great Fujiwara clan, and lived about the end of the twelfth century.
Murasame means ‘rain falling in showers, here and there’, [and the illustration plainly shows it raining on one side of the house only.]
寂蓮法師 じゃくれんほうし THE PRIEST JAKUREN
生年未詳、一説には11391202。俗名は藤原定長(さだなが)。俊成《歌083》の弟俊海阿闍梨(しゅんかいあじゃり)の子。俊成の養子となり、従五位上・中務少輔(なかつかさしょうゆう)になったが、のちに定家《歌097》などが生まれたため、承安2(1172)年ごろ俊成の家を自ら出て僧になって寂蓮と称した。
「新古今集」の撰者の一人に選ばれたが完成を見ずに没した。36歌仙の一人で、家集に「寂蓮法師集」があり、「千載集」などに107首はいっている。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉前期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇《歌099》の命で藤原定家《歌097》・藤原家隆《歌098》・寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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