2017年7月25日火曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #098

※動画は後日投稿します。

098
新勅撰・巻三
Shin-chokusen(waka)-shu, vol.3
summer
寛喜元年女御入内の屏風──正三位家隆
inspired by a picture drawn on folding screens presented as imperial bridal celebration in the year 1 of Kangi.
風そよぐ
ならの小川の
夕暮は
御禊ぞ夏の
しるしなりける
かぜそよぐ
ならのおがわの
ゆうぐれは
みそぎぞなつの
しるしなりける
Kaze soyogu
Nara no ogawa no
Yugure wa
Misogi zo natsu no
Shirushi nari keru.
風がそよそよと楢の葉に吹いている、この奈良の小川の夕暮れは、もう秋が来たように思えるが、小川で行われている夏越(なご)しのみそぎがまだ夏であることのあかしであるよ
The twilight dim, the gentle breeze
By Nara’s little stream,
The splash of worshippers who wash
Before the shrine, all seam
A perfect summer’s dream.
水音が響くさわやかな屏風歌
寛喜(かんぎ)元(1229)年、藤原道家(ふじわらのみちいえ)の娘竴子(よしこ)が後堀河天皇の中宮として入内する際に贈られた屏風歌である。
涼しい風に秋の気配を感じる一方で、小川では夏の風物詩である六月祓(みなづきばらえ)の行事が行われている。そこでまだ夏なのだなあと確認しているのである。自らが感受した感覚と目前の事実を上の句と下の句に分け、季節の移り変わりを巧みに表現した。
Iyetaka was another of the great Fujiwara family; he died in the year 1237.
The word misogi means the Shinto ceremony of purifying the body before worship by washing or sprinkling with water. The verse is said to have been inscribed on a screen in the apartments of the Empress at Nara.
従二位家隆 じゅにいいえたか THE OFFICIAL IYETAKA
藤原家隆(11581237)。藤原光隆(みつたか)の四男。はじめ雅隆という。妻は寂蓮《歌087》の娘。元久3(1206)年宮内卿、嘉禎元(1235)年従二位。翌年病気のため出家。
俊成《歌083》に歌を学ぶ。「千五番歌合」の作者。和歌所寄人となり、定家《歌097》らと『新古今集』の撰者になる。生涯に6万首も詠んだといわれるが、伝わっているのは10分の1。勅撰集にとられた歌は『千載集』などに281首。

新勅撰和歌集(しんちょくせんわかしゅう)

第9番目の勅撰和歌集。20巻。歌数1374首。後堀川天皇の命により藤原定家《歌097》が撰した。1235(文暦2)年成立。1234(天福2)年6月、未定稿を仮奏覧したが2ヵ月後に後堀河院が崩御。落胆した定家は手もとの草案を焼却、九条道家が仮奏覧本を尋ね出し完成を促した。後鳥羽《歌099》・順徳《歌100》両院ら承久の乱関係者の歌は除かれ、九条・西園寺(さいおんじ)等の親幕派と武家の詠が優遇されている。歌風は平明温雅『新古今和歌集』の余情妖艶から退いて、三代集の歌風に帰っている。
  ──『古語林 古典文学事典/名歌名句事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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