2017年7月21日金曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #095

※動画は後日投稿します。

095
千載・巻十七
Senzai(waka)-shu, vol.17
other
題知らず──法印慈円
untitled
おほけなく
憂き世の民に
おほふかな
わが立つ杣に
墨染の袖
おおけなく
うきよのたみに
おおうかな
わがたつそまに
すみぞめのそで
Okenaku
Uki yo no tami ni
Ou kana
Waga tatsu soma ni
Sumizome no sode.
おそれ多くも、仏のご加護を願って、俗世の人々の上に覆い掛けることであるよ。比叡山に住み始めた私の墨染めの袖を
Unfit to rule this wicked world
With all its pomp and pride,
I’d rather in my plain black robe
A humble priest abide,
Far up the mountain side.
人々の救済を高らかに宣言する
比叡山(ひえいざん)に修業に入った作者が、僧としての志を掲げた述懐(じゅっかい)の歌である。後に天台座主(てんだいざす)まで上りつめる高僧の人柄をよく表している。初句の「おほけなく」に若さや未熟さを認める謙虚な姿勢が感じられる。
「わが立つ杣」は慈円が好んで多用した表現で、そこから比叡山そのものを指す言葉となり、さらに「わが山」だけで比叡山を意味することとなった。もともとは天台宗の開祖最澄(さいちょう)が用いた言葉である。
The Archbishop was a son of the author of verse No. 76. He had just been promoted to his exalted rank, which entailed living at the Temple of Mount Hiei, near Kyoto, and this is his modest deprecatory verse on his new appointment. He is said to have put an end to his life by the method described in the note to verse No. 12.
[In the picture we see the Archbishop in his robes, and the great Temple of Mount Hiei, while in the distance are the wild hills where he longs to be.]
前大僧正慈円 さきのだいそうじょうじえん THE FORMER ARCHBISHOP JIYEN
11551225。関白太政大臣藤原忠通《歌076》の子。九条実兼の弟。永万元(1165)年11歳で延暦寺の座主覚快法親王(ざすかくかいほっしんのう)に師事し、13歳で出家。はじめ道快といい、養和3(1181)年11月に慈円と改める。政治にも参与し、別称は吉水和尚。71歳で入滅した。
著書史論『愚管抄(ぐかんしょう)』、家集『拾玉集』がある。若いころ西行法師に歌を学んだため歌風は西行にちかく、多作で新歌風を開拓した。『新古今集』時代の代表的御子左家(みこひだりけ)歌人。勅撰集にとられた歌は『新古今集』の91首をはじめ、250首。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)

鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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