2017年7月17日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #091

※動画は後日投稿します。

091
新古今・巻五
Shin-kokin(waka)-shu, vol.5
autumn
百首の歌奉りし時──摂政太政大臣
presenting 100 verses to the Retired Emperor.
きりぎりす
鳴くや霜夜の
さ莚に
衣片敷き
一人かも寝む
きりぎりす
なくやしもよの
さむしろに
ころもかたしき
ひとりかもねん
Kirigirisu
Naku ya shimo yo no
Samushiro ni
Koromo katashiki
Hitori kamo nen.
こおろぎが鳴いている。寒い夜の筵(むしろ)の上で、私は自分の着物だけを片敷いて、ただひとりわびしく寝るのだろうか
I’m sleeping all alone, and hear
The crickets round my head;
So cold and frosty is the night,
That I across the bed
My koromo have spread.
孤独と寒さが身にしみる
正治(しょうじ)2(1200)年の『後鳥羽院初度百首』のなかに見える一首。《歌003》の「あしびきの~」の歌と『古今集』の恋四にある「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」の歌を本歌取りしている。部立ては秋であるが、この二首を本歌としていることで、恋歌としても読める。ひとり寝の孤独を、きりぎりす、霜夜、片敷きの衣などの語を用いることによって、いっそう冷たく寂しいものとして印象深くしている。きりぎりすは現在のこおろぎを指すが、気温が下がるにつれて、温かい場所を求めて床下に移動する習性があるという。寝室でひとりこおろぎの鳴き声を聞くという状況がそのまま外気の冷たさを物語っているのである。
秋の寂寥として趣を詠むのは、作者の得意とするところであったが、この歌を詠む少し前に妻に先立たれているということを考えれば、実感がそのまま歌ににじみ出て、寂しさをより際立たせたのかもしれない。
This writer was another of the great Fujiwara family, and died in the year 1206.
The word kirigirisu, a cricket, is supposed to represent its song; the Japanese say that the chirping of crickets means cold weather.
[In the picture the poet is sitting up in bed with his arm on his pillow, listening to the crickets; and in the original illustrated edition underneath the verse is drown a cricket hiding in the grass.]
後京極摂政前太政大臣
ごきょうごくせっしょうさきのだいじょうだいじん THE REGENT AND FORMER PRIME MINISTER GO-KYOGOKU
藤原良経(ふじわらのよしつね・11691206)。摂政九条兼実(くじょうかねざね)の子。法性寺忠通の孫。建久元(1189)年権大納言、同6年内大臣、正治元(1199)年左大臣を経て建仁2(1202)年12月に摂政となる。元久元(1204)年正月従一位、同年12月太政大臣となったが、建永元年3月、兇賊(きょうぞく)の槍に刺殺された。38歳。
俊成《歌083》に歌を学び、「新古今集」の撰に加わり、仮名序を書き、「み吉野は山もかすみて白雪のふりにし里に春は来にけり」という巻頭の作者となる。家集「秋篠月清集」。勅撰歌は313首。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉前期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇《歌099》の命で藤原定家《歌097》・藤原家隆《歌098》・寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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