2017年7月6日木曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #081

※動画は後日投稿します。

081
千載・巻三
Senzai(waka)-shu, vol.3
summer
曉ニ聞ク二郭公一といへる心をよみ侍ける──右大臣
waiting for the first voice of cuckoo at dawn.
郭公
鳴きつる方を
ながむれば
ただ有明の
月ぞ残れる
ほととぎす
なきつるかたを
ながむれば
ただありあけの
つきぞのこれる
Hototogisu
Nakitsuru kata wo
Nagamureba
Tada ariake no
Tsuki zo nokoreru.
ほととぎすが鳴いたと思って、そちらを眺めると、そこにはなにもなく、ただ有明の月だけが空に残っている
The cuckoo’s echo dies away,
And lo! the branch is bare;
I only see the morning moon,
Whose light is fading there
Before the daylight’s glare.
見えない姿に余韻を感じる
ほととぎすは古くから何度となく和歌に詠まれている題材である。夏を告げる鳥として、その最初の一声(初音)を聞くために、夜明けまで耳を澄まして待つほど、平安の人々に愛された鳥であった。
この歌は、その初音を聴いたと思った瞬間、ほととぎすの姿をとらえようと顔を上げたのだが、すでにその姿はなく、見えるのは有明の月だけであったというものである。一瞬の視点の動きと、後に残った静寂がしみじみとした余韻を残している。
有明の月もほととぎすとともに、よく詠まれる題材で、古くから歌語を使いつつも、視覚と聴覚の両方で一瞬の喜びを表現したところに清新さが感じられる。
作者は祖父の徳大寺左大臣実能(さねよし)と区別するために後徳大寺と呼ばれた。和歌、文学、管絃などに優れる多才な人物だったが、晩年はもっぱら政事の分野で手腕をふるったようだ。
The writer’s name was Sanesada Fujiwara, and he entered the priesthood in the year 1198. The cuckoo, according to Japanese tradition, cries through the night until its eyes become bloodshot. It is supposed to come from the Spirit-land across the mountains of Hades, about the end of the fifth month, to warn the farmer that it is time to sow his rice.
[In the illustration we see the morning moon setting behind the hills, and the cuckoo flying away.
後徳大寺左大臣 ごとくだいじのさだいじん THE MINISTER-OF-THE-LEFT OF THE TOKUDAI TEMPLE
藤原実定(ふじわらのさねさだ・11391191)。大炊御門(おおいのみかど)右大臣公能(きんよし)の子で母は権中納言俊忠(ごんのちゅうなごこんとしただ)の娘。定家《歌097》とは従兄弟。内大臣、右大臣を経て左大臣となり、53歳で出家した。
詩歌管絃にすぐれた。中古36歌仙の一人で、日記「庭槐集」、家集「林下集」がる。「千載集」などに73首はいっている。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)
鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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