2017年7月26日水曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #099

※動画は後日投稿します。

099
続後撰・巻十七
Shoku-gosen(waka)-shu, vol.17
other
題知らず──後鳥羽院
untitled
人もをし
人も恨めし
あぢきなく
世を思ふゆゑに
物思ふ身は
ひともおし
ひともうらめし
あじきなく
よをおもうゆえに
ものおもうみは
Hito mo oshi
Hito mo urameshi
Ajiki-naku
Yo o omou yue ni
Mono omou mi wa.
人というものがいとおしく思われ、またうらめしくも思われる。つまらないこの世を思うゆえに、あれこれと思い悩んでいる私は
How I regret my fallen friends
Ho I despise my foes!
And, tired of life, I only seek
To reach my long day’s close,
And gain at last repose.
かんたんには説明できない人間という奇妙な存在
思うようにいかない世の中を嘆き、まわりを取り囲むさまざまな人間関係に苦悩する君主としての心情が表れた歌である。
この歌は後鳥羽院が催した建暦2(1212)年の歌合「五人百首」で詠まれた。藤原定家《歌097》、家隆《歌098》ら4人に20首ずつ歌を詠ませ、そこにみずからの20首を合わせて100首とした。後鳥羽院の20首は春が5首、秋が10首、残りの5首は述懐の歌で、そのなかのひとつがこの「人もをし~」の歌である。
初句から二句の「人」の解釈に関して、ひとりの人間の二面性を表すという説と、広く一般に世の中にはわかりあえる人と理解しがたい人がいるということを表すとの説があるが、後者ととるのが一般的である。いずれにしても人間の複雑な性質を表している。
この歌を詠んだとき、院は33歳、幕府に敗れて隠岐へ流されるのはそれから9年後のことである。
The Emperor Gotoba, or Toba II, reigned A.D. 1186-1198. He was the son of the retired Emperor Takkura, and was banished to Amagori, in the Oki Islands, where he took the name of Sen-Tei, busied himself in making swords, and died in the year 1239. He was very sensitive to noises, and it is said that the frogs of the pool of Shike-kuro have been dumb ever since the year 1200; for their croaking at night disturbed his rest, and he commanded them to be silent. It was in the evelenth year of his reign that the title of Shogun was created and conferred upon the great General Yoritomo; which title, down to the year 1868, was borne by the real rulers of the country, the Emperor himself being not much more than a figure-head.
Notice the resemblance in sound between the first and second lines, and between the fourth and fifth lines, not fully brought out in the translation.
後鳥羽院 ごとばいん THE RETIRED EMPEROR GOTOBA
11801239。高倉天皇の第四皇子。第82代天皇。諱(いみな)は尊成(たかなり)。寿永2(1183)年北条氏討伐をはかり(承久の乱)、敗れて出家。隠岐島へ移る。在島19年。延応元年同地で崩御。60歳。
和歌にすぐれ、建仁元(1201)年に和歌所を定め、『新古今集』を親撰した。家集『後鳥羽院御集』、歌論書『後鳥羽院御口伝』を残す。勅撰集にとられている御製は248首。

続後撰和歌集(しょくごせんわかしゅう)

10番目の勅撰和歌集。20巻。後嵯峨上皇の命により、藤原為家(ためいえ)が1251(建長3)年に撰進。俊成《歌083》撰の『千載和歌集』、定家《歌097》撰の『新勅撰和歌集』に次ぎ、三代続いて御子左家(みこひだりけ)が単独で勅撰集を編んだことから、中世において規範的歌風となった。総歌数約1370首で、平淡な歌風。
  ──『古語林 古典文学事典/名歌名句事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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