2016年7月11日月曜日

黄昏の世界遺産 3

ドレスデンの夕陽 Sunset on Dresden


バロック様式の建物が建ち並ぶ美しい街並み、文豪ゲーテが「エルベ川のフィレンツェ」とその美しさをたたえたのがドイツ、ドレスデン。
残念ながら世界遺産からの登録抹消となってしまいました。

ドレスデンは、ドイツの東部、チェコとの国境からおよそ30kmほどにある歴史ある街。
ヨーロッパを東西に分けるエルベ川が街の中を流れています。

12世紀末からザクセン選帝侯(せんていこう)の宮廷都市として栄えました。
街には宮殿や古城、教会などが建ち並び、昔の栄華を忍ばせます。

ツビンガー宮殿は、18世紀にフリードリヒ・アウグスト1世の命により建てられました。
ここにはヨーロッパ中の絵画や財宝が集められました。

街の中心にあるオペラハウス、かつてワーグナーが楽団長を務めたことで知られるゼンパーオーパーです。

街のシンボル、聖母教会は、ヨーロッパで最も大きなプロテスタントの教会です。

エルベ川のほとりに広がる美しい風景と歴史を感じさせる街並みが人々の心をとらえる。「芸術の都」を染める夕陽、Ben Tissot 氏 (Bensound.com) の音楽「Slow Motion」でどうぞ。

世界遺産に登録されていたときの詳細を記しておきますね。






ドレスデンのエルベ渓谷《ドイツ》
Dresden Elbe Valley《Germany》

登録種別:文化遺産
登録基準:(ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に監視、人類の価値の重要な交流を示すもの;(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例;(v) 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(または、複数の文化)或は、環境と人間との相互作用を代表する伝統的集落、または、土地利用の顕著な例
登録年:2004・2006【危機遺産】
※2009年世界遺産リストからの抹消

ドレスデンのエルベ渓谷は、ザクセン州の州都ドレスデンを中心に、北西部のユービガウ城とオストラゲヘーデ・フェルトから南東部のビルニッツ宮殿とエルベ川島までの18kmのエルベ川流域に展開する。このエルベ渓谷には、18~19世紀の文化的景観が残る。ドレスデンは、かつてのザクセン王国の首都で、エルベのフィレンツェと称えられ、豪華な宮廷文化が輝くバロックの町で、16~20世紀の建築物や公園などが残っている。なかでも19~20世紀の産業革命ゆかりの鉄橋、鉄道、世界最古の蒸気外輪船、それに造船所は今も使われている。2006年、ドレスデン建都800年の記念すべき年であったが、エルベ川の架橋計画による文化的定款の完全性の損失を理由に、「危機にさらされている世界遺産」に登録された。2008年の第32回世界遺産委員会では、「ドレスデンのエルベ渓谷」の4車線のヴァルトシュリュスヘン橋の建設により文化的景観の完全性が損なわれるとして、世界遺産リストからの抹消も含めた審議を行ったが、橋の建設中止など地元での対応などを当面は静観することを決した。代替案としての地下トンネルの建設などにより景観の保護が行われず、このまま橋の建設が継続され完成した場合は、2009年の第33回世界遺産委員会での世界遺産リストからの抹消が余儀なくされることになっていた。この物件の取り扱いについては、第30回、第31回、第32回の世界遺産委員会で、慎重な審議が重ねられたが、ドレスデンの関係当局者は、文化的景観の中心部での4連のヴァルトシュリュスヘン橋の建設プロジェクトを中止しなかった為、2004年の世界遺産登録時の「顕著な普遍的価値」と「完全性」が喪失、2009年の第33回世界遺産委員会でのオマーンの「アラビアン・オリンピック保護区」に次ぐ、世界遺産登録史上二番目となる「世界遺産リストからの抹消」という不名誉な事態になった。しかしオマーンの抹消と異なり、世界遺産委員会は、“Every time we fail to preserve a site, we share the pain of the State Party.”という議長声明と共に、「ドレスデンのエルベ渓谷」は「顕著な普遍的価値」を有する箇所もあるので、ドイツは異なる登録基準と境界線のもとでの新登録の推薦書類を提出することは出来ると温情を示した。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

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