2017年1月30日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #013


013
後撰・巻十一
Gosen(waka)-shu, vol. 11
love
釣殿の内親王(つりどののみこ)につかはしける──陽成院御製
sending to Princess Tsuridono
筑波嶺の
峯より落つる
みなの川
恋ぞつもりて
淵となりぬる
つくばねの
みねよりおつる
みなのがわ
こいぞつもりて
ふちとなりぬる
Tsukuba ne no
Mine yori otsuru
Mina no gawa
Koi zo tsumorite
Fuchi to nari nuru.
筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が、一滴の雫がつもって深い淵になるように、私の恋こがれる思いも深くつもって淵となってしまったことだ
The Mina stream comes tumbling down
From Mount Tsukuba’s height;
Strong as my love, it leaps into
A pool as black as night
With overwhelming might.
底が見えないほど深くつもった恋の淵
作者の次に即位することとなった光孝天皇《歌015》の娘、綏子(すいし)内親王への恋心を歌った作である。上の句で伸びやかに自然を詠み、下の句で自らの心情を水の流れにのせて一気に歌い上げた情熱あふれる仕上がりになっている。
押さえがたい思いがつもっていくさまは、脳の病のため狂気的な言動が絶えなかったという陽成院の激動の生涯を象徴しているようである。
It was a frequent custom in the old days for the Emperors of Japan to retire into the church or private life, when circumstances demanded it. The Emperor Yozei, who was only nine years of age when he came to the throne, went out of his mind, and as forced by Mototsune Fujiwara to retire; he reigned A.D 877-884, and did not die till the year 949. The verse was addressed to the Princess Tsuridono-no-Miko. Mount Tsukuba (2,925 feet high) and the River Mina are in the Province of Hitachi.
Koi here means the dark color of the water from its depth, but it also means his love, and is to be understood both ways. Note also mine, a mountain peak, and Mina, the name of the river.
陽成院 ようぜいいん THE RETIRED EMPEROR YOZEI
868949年。第57代天皇。諱(いみな)は貞明(さだあきら)。清和天皇の第一皇子で、母は藤原高子(ふじわらのたかいこ)。元慶元(877)年10歳で即位。元良(もとよし)親王《歌020》の父。母高子(たかいこ)の兄藤原基経が摂政となり政務を執る。同8(884)年2月、精神病のため譲位。狂暴、非道な行ないが伝えられている。82歳で崩御。
勅撰集にはこの一首だけがはいっている。

後撰和歌集(ごせんわかしゅう)

平安中期、第2番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
20巻。歌数約1400首。951年村上天皇の命で源順(みなもとのしたごう)ら「梨壺の五人」が編集。歌の作者はほぼ『古今和歌集』と重なり、撰者の歌は入れていない。特色として贈答歌が多く、詞書が長いことがあげられるが、これは歌集の物語化を意味する。
  ──『日本史事典』

PHOTO (F):
Mt.Tsukuba.jpg by RESPITE

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。






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