2017年1月9日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #001


001
後撰集・巻十
Gosen(waka)-shu, vol. 10
autumn
題知らず──天智天皇御製
untitled
秋の田の
かりほの庵の
苫をあらみ
わが衣手は
露に濡れつつ
あきのたの
かりほのいおの
とまをあらみ
わがころもでは
つゆにぬれつつ
Aki no ta no
Kariho no io no
Toma o arami
Waga koromode wa
Tsuyu ni nure-tsutsu
秋の他のかたわらにある仮小屋は、草を粗く編んで葺(ふ)いた簡素なものなので、そこで番をする私の袖は夜露に濡れつづけていることだ
Out in the fields this autumn day
They’re busy reaping grain;
I sought for shelter ‘neath this roof,
But fear I sought in vain,
My sleeve is wet with rain.
農民の辛苦を詠んだ慈悲深い歌
夜を徹して田の番をする農民の着物の袖を、露がしめらせている。感情表現をおさえた詠みで、わびしい秋の静けさをしみじみと味わっている姿が目に浮かぶようだ。この歌は天皇が農作業に携わる農民のつらさに心を寄せて詠んだものとして解釈されているが、実際は天智天皇の作ではない。『万葉集』に見える「秋田刈る仮慮(かりいほ)を作り我が居れば衣手寒く露ぞ置きにける」というよみ人知らずの歌がいつしかかたちを変えて伝わったという説が有力で、『後撰集』に「題知らず 天智天皇御製」として選ばれたことから、以後天皇の歌とされてきた。
百人一首を編纂した藤原定家(ふじわらのていか)は、日記『明月記』で「古来の人の歌各一首、天智天皇より以来、家隆雅経(いえたかまさつね)に及ぶ」と書いており、天智天皇の歌を最初にもってくることを決めていたようだ。天智天皇は桓武(かんむ)天皇以降、平安時代の天皇の祖であり、平安の人々に敬愛された帝であった。定家も天智天皇に敬意を払い、この歌を巻頭に据えたのだろう。
The Emperor Tenji reigned from A.D. 668 to 671, his capital was Otsu, not far from Kyoto, and he is chiefly remembered for his kindness and benevolence. It is related, that one day he was caring birds away, while the harvesters were gathering in the crop, and, when a shower of rain came on, he took shelter in a neighboring hut; it was, however, thatched only with coarse rushes, which did not afford him much protection, and this is the incident on which the verse if founded.
[The picture shows the harvesters hard at work in the field, and the hut where the Emperor took shelter.]
天智天皇
てんじてんのう
THE EMPEROR TENJI
627年~671年。38代舒明天皇の息子。母は皇極天皇。持統天皇《歌002》の父。在位4年(ただしその前に6年間政事を治めたので実際は在位10年)。帝位につく前は葛城皇子(かつらぎのおうじ)、のちに中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)という。中臣鎌足(なかとみのかまたり=藤原鎌足)らとともに、蘇我入鹿(そがのいるか)を討滅し、大化の改新を行ない、都を近江国志賀(おうみのくにしが=大津)にうつした。
歌人としては「万葉集」第1期の歌人で、131415に大和三山をよんだ長歌と反歌がとくに有名で「日本書紀」にも歌がみえ、「古今集」などの勅撰集に6首入首。

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
B1…作者 poet
B2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002)
B3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down)
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。








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