004 |
新古今・巻六
Shin-kokin(waka)-shu, vol.
6 |
冬
winter |
題しらず──赤人
untitled |
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田子の浦に
打出でて見れば
白妙の
富士の高嶺に
雪は降りつつ
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たごのうらに
うちいでてみれば
しろたえの
ふじのたかねに
ゆきはふりつつ |
Tago
no ura ni
Uchi-idete
mireba
Shirotae
no
Fuji
no takane ni
Yuki wa furi-tsutsu |
田子の浦の浜に出て、遠方を見上げると真っ白い富士の高嶺に今も雪が降り続いていることだ
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I
started off along the shore,
The
sea shore at Tago,
And
saw the white and glist’ning peak
Of
Fuji all aglow
Through falling flakes of
snow. |
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富士山の荘厳さをイメージの中で表現する
百人一首のなかでもとくに知名度の高いこの歌は、雄大な景色を詠った叙景歌である。海から山を見上げた視点の移動が、遠くたたずむ富士の荘厳さを見事に表現している。
原歌は「田子の浦ゆうち出てみれば真白にぞ富士の高嶺に雪は降りける」という『万葉集』に見られるものだが、こちらは百人一首のものと比べると力強く、目の前に広がる風景をそのまま歌っている(実景歌)。
一方で、百人一首は結句「ける」を反復・継続の助動詞「つつ」として、はるか遠方の富士に今雪が降っているという状況を表したため、実際には見ることのできないものを詠んでいるとして、元来、原歌の評価のほうが高かった。しかし、この歌が語調の美しい幻想的な叙景歌として、余情を大事にする平安時代の歌人たちにより好まれたことも納得できる秀歌である。
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Akahito Yamabe lived about
A.D. 700, and was one of the greatest of the early poets; he was
contemporary with Kaki-no-Moto, the writer of the previous verse,
and like him was deified as a God of Poetry. Tago is a seasile
place in the Province of Izu, famous for its beautiful view of
Mount Fuji. |
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山部赤人 |
やまべのあかひと |
AKAHITO YAMABE |
生没年未詳。奈良朝の初期、元明(げんめい)・元正(げんしょう)・聖武(しょうむ)の御代のころ(人麿と同時代から聖武帝の天平年間まで生存したと伝えられる)に朝廷に仕えた官吏で、人麿と同じく宮廷歌人の一人。紀伊や吉野、駿河、下総などを旅している。
自然を客観的に描写した歌が多く、官位は低かったが、人麿とともに“山柿(さんし)の門”と称され歌聖といわれた。「万葉集」には長歌13首、短歌37首あり、勅撰集には49首はいっている。「万葉集」第3期の歌人。
「山辺」とも書く。
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鎌倉初期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇の命で藤原定家《歌097》、藤原家隆《歌098》、寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
──『日本史事典』
動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。
A…作品番号 number of the verse
B1…作者 poet
B2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002)
B3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down)
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.
右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.
余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。
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