2017年1月10日火曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #002


002
新古今・巻三
Shin-kokin(waka)-shu, vol. 3
summer
題知らず──持統天皇御歌
untitled
春過ぎて
夏来にけらし
白妙の
衣干すてふ
天の香具山
はるすぎて
なつきにけらし
しろたえの
ころもほすちょう
あまのかぐやま
Haru sugite
Natsu ki ni kerashi
Shirotae no
Koromo hosu teu
Ama-no-kagu yama
春が過ぎて夏が来たらしい。昔から夏に白い着物を干すと言われている天の香具山に、純白の着物が干されていることよ
The spring has gone, the summer’s come,
And I can just descry
The Peak of Ama-no-kagu,
Where angels of the sky
Spread their white robes to dry.
雄大な景色に夏の到来を感じる
春から夏に移ろう季節を山の緑と衣の白という色の対比で鮮やかに歌った一首である。『新古今集』では夏歌の巻頭に置かれ、立夏の歌として解釈されている。
原歌は『万葉集』の「春過ぎて夏来るらし白栲(しろたへ)の衣干したり天(あま)の香具山」である。比べると二句の「夏来るらし」が「夏来にけらし」に、四句の「衣干したり」が「衣干すてふ」に変わっている。これは、万葉の歌を平安時代に読み下す際に「夏来良之」と「衣乾有」の読み方が統一されていなかったためで、意図的に改訂されたのではないようだ。
定家は調べの美しい『新古今集』のかたちをそのままとっているが、意味の上では、「衣ほすてふ」とすることで、万葉の時代には目前に実景としてあった衣が平安の時代には甘檮(あまかし)明神が人の嘘を見抜くために神水にぬらした衣を干すという香具山の伝説を連想させる、より複雑なつくりとなっている。
The Emperor Jito reigned A.D. 690-696, during which time sake was first made and drunk in Japan; she was the daughter of the Emperor Tenji, the writer of the previous verse, and she married the Emperor Temmu, ascending the throne herself on his death. The poem refers to a snow-capped mountain just visible on the horizon. One of the No dramas relates, that an angel once came to a pine forest on the coast near Okitsu, and, hanging her feather mentle on a pine tree, climbed a neighboring mountain to view Mount Fuji; a fisherman, however, fond the robe and was about to carry it off with him, when the angel reappeared and begged him to give it her, as without it she could not return to the moon where she lived. He only consented to do so, however, on condition that she would dance for him; and this she accordingly did, draped in her feathery robe on the sandy beach under the shade of the pine trees; after which she floated heavenward, and was lost to view.
持統天皇
じとうてんのう
THE EMPEROR JITO
645年~702年。第41代天皇。天智天皇《歌001》の第2皇女。天武天皇の皇后。天武天皇崩御のあとをうけて即位。都を藤原宮にうつす。在位12年(686697)。
天武天皇崩御を悼(いた)んでの挽歌(ばんか)が知られている(万葉集159160261)。勅撰集に8首。この時代は柿本人麿(かきのもとのひとまろ)や高市黒人(たけちのくろひと)などすぐれた歌人がでて、万葉歌風の最盛期である。



新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉初期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇の命で藤原定家《歌097》、藤原家隆《歌098》、寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

PHOTO (F):
Kaguyama-mt.jpg by terumasa

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
B1…作者 poet
B2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002)
B3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down)
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。









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