2017年1月24日火曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #010


010
後撰・巻十五
Gosen(waka)-shu, vol. 15
other
逢坂の関に庵室を造りて住侍(すみはべ)りけるに行きかふ人を見て──蝉丸
watching people pass by at a hermitage
これやこの
往くも帰るも
別れては
知るも知らぬも
逢坂の関
これやこの
ゆくもかえるも
わかれては
しるもしらぬも
おうさかのせき
Kore ya kono
Yuku mo kaeru mo
Wakarete wa
Shiru mo shiranu mo
Ausaka no seki.
これがあの、都から東国へ行く人も、それを見送って都へ帰る人も、知っている人も知らない人も、ここで別れてはまた逢うという、名の通りの逢坂の関なのだなあ
The stranger who has traveled far,
The friend with welcome smile,
All sorts of men who come and go
Meet at this mountain stile,
They meet and rest awhile.
関を行き交う人々に人生の無常を見る
「逢坂の関」は山城国(京都府)と近江(おうみ)国(滋賀県)の間に置かれた関所で、都から他国へ出る際の交通の要所であった。実際に関所が置かれたのは大化(たいか)2(647)年から延暦(えんりゃく)14795)年までの間だったが、その後も往還に利用され、名前に「逢う」の響きが含まれることから、長い間歌枕として詠まれてきた。
その逢坂の関で行き交う人々、顔見知りや、そうでない人、旅立つ人、見送る人のようすを見て「これが噂に聞く逢坂の関というものなのだなあ」と感慨深げに歌っている。
一見写実的な一首だが、中世には、めぐり会っては別れ行く、人生の無常を表現していると解釈された。
「これやこの」「行くも帰るも」「知るも知らぬも」と3つの対句を使い、リズミカルで楽しげな雰囲気が感じられるが、一方では逢坂の関に世の中の無常を見ている、深みのある歌である。
Semi Maru is said to have been the son of the Emperor Uda, who reigned A.D. 888-897. He became blind, and so, being unable to ascend the throne, he retired to a hut on the hills, near to a barrier gate, and amused himself with his guitar. The translation does not fully reproduce the antithesis of the original--- ‘this or that man, people coming and going, long lost friends and strangers’. The last line is literally ‘the barrier on the mountain road of meeting’; and Osaka no Seki, as the name is now spelled, a small hill on the edge of Lake Biwa, not far from Kyoto, is the site commemorated in this verse.
蝉丸 せみまる SEMI MARU
生没年・伝記未詳。「今昔物語」巻二十四によれば、宇多天皇の第8皇子敦実(あつざね)親王の雑色(雑役)で、のち隠者となって延喜5(905)年ころには逢坂山に住んでいたと伝えられる。『平家物語』では醍醐(だいご)天皇の第四皇子とされている。
盲目の琵琶の名手であったと伝えられる。
勅撰集には4首はいっている。

後撰和歌集(ごせんわかしゅう)

平安中期、第2番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
20巻。歌数約1400首。951年村上天皇の命で源順(みなもとのしたごう)ら「梨壺の五人」が編集。歌の作者はほぼ『古今和歌集』と重なり、撰者の歌は入れていない。特色として贈答歌が多く、詞書が長いことがあげられるが、これは歌集の物語化を意味する。
  ──『日本史事典』

PHOTO (F):

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。






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