3月ですね。
3日は雛祭(ひなまつり)、女の子が健やかに育つよう願いを込められた年中行事です。
本来は旧暦の3日に行われていたようですが、現代では新暦でお祝いすることが多いですね。
動画に使った文章を再度載せておきますね。
ひな祭り Hina Matsuri (Doll Festival)
3月3日には、各家庭でひな人形を飾り、とくに女の子の健やかな成長を願う。1000年以上前から、この季節に「ひとかた」を海に流して、自分の災難を追い払う行事があった。この人形が次第に家の中に飾るものに変化していった。最も典型的なものは、宮廷社会のありさまを表した人形飾りで、5段あるいは7段に飾られる。女の子たちがこれを見ながら、お菓子を食べたり、食事をして楽しむ。
Dolls are displayed on March 3 in each household to wish for the healthy growth of daughters. This festival originated more than a thousand years ago as a ritual at this time of year to drive away one's misfortune by letting the dolls be carried off to sea. This tradition gradually evolved into the dolls being displayed in homes. A typical display frequently depicts a slice of life at the imperial court, with five or seven rows of dolls. Little girls eat sweets or a meal while enjoying the display.
──『心にひびく日本のしきたり TIES WITH THE PAST; Japanese Customs, Traditions and Manners』酒井信彦・監修(講談社バイリンガル・ブックス/2011年)
雛祭は「桃の節句」「上巳(じょうし)の節句」とも呼ばれ、庶民の行事である五節供(人日(じんじつ・1月7日)、上巳(3月3日)、端午(たんご・5月5日)、七夕(しちせき・7月7日)、重陽(ちょうよう・9月9日))のうちのひとつです。
そもそも節句とは、”食物を供えて神々や祖先の霊を祀り、それを人々も分け合って食べることにより、神霊と人々相互の間に目に見えない一体感を得ようとした(『ブリタニカ国際大百科事典』)”年間の節目の日だそうです。
節供と書くこともありますが、上記の意味からすれば、こちらの字のほうがふさわしいかもしれません。
上巳(じょうし)の節句
3月3日(旧暦3月3日)
◆人形に穢(けが)れを托(たく)して流してもらう厄落としの行事
上巳の節句は、旧暦3月上旬の巳(み)の日(3月3日)の行事のことで、桃の節句といわれるように桃の花が咲く頃に行われる行事です。この日は雛人形を飾って女児の成長を祝う雛祭りが行われ、また春の訪れを喜び、磯遊びや山遊びに興じたりします。
上巳は、もともと古代中国では邪気に見舞われやすい忌日(いみび)とされていました。そこで水辺に出て禊(みそぎ)を行い、自分の身代わりとして穢れを移した「人形(ひとがた)」を川に流しましたが、この人形が「雛人形」の元慶と考えられています。
人形を流す風習は、『源氏物語』の須磨の巻にも記されているとおり、古くからある風習でした。次第に貴族の子供の間で行われていた「ひいな(雛)遊び」と結びつき、「雛祭り」の起源となりました。この「ひいな遊び」の「ひいな」も、幼児の枕元に置いて穢れを祓うお守りとしてした人形(ひとがた)でした。
元来、「ひいな」は素朴なものでした。次第に手をかけた立派なものが作られるようになり、元の性格が薄まって、子供が飾って楽しめる現在のような雛人形になりました。
●流し雛は伝統的な禊の行事
流し雛とは、3月の節句に雛人形を川に流し送る行事で、いまでも鳥取県などの地域では、この風習が残っています。呪具としての性格が強く、人形(ひとがた)の流し雛で身体をなでて穢れを祓い、流し去ります。
●風流な詩宴、曲水(きょくすい)の宴
3月の上巳の日(のちに3月3日)に平安時代の貴族たちの間で行われていた風流な年中行事。雅楽が流れるなか、曲がりくねりながら流れる水のほとりに貴族たちが座り、流れてきた杯が自分の前を通り過ぎないうちに短歌を読み上げるというものです。杯を取り上げて酒を飲み、次に流すという雅な遊びで、その起源は中国の周の時代とされています。
●雛人形の役割
平安時代には上巳の節句の人形(ひとがた)は「形代(かたしろ)」「撫物(なでもの)」などと呼ばれていました。形代は身代わり人形のことで、撫物は人形の身体をなで、これに穢れを移すところから出た呼び名です。
雛人形は大別すると紙雛と土雛があり、紙雛は撫物の系列で、流し雛などに用いられました。他方、土雛は工芸品として発達していきます。また近世以降の工芸的な雛人形には立雛(たちびな)と坐雛(すわりびな)があり、ここから男雛(おびな)・女雛(めびな)の別が生まれ、1対の夫婦雛として扱われるようになりました。
●桃の節句
「桃は五行の精なり」といって、中国では邪気を祓い百鬼を制すという魔よけの信仰がありました。またかつては白酒に桃の花弁を浮かべた「桃花(とうか)酒」も飲まれていました。
●雛祭り
雛祭りは、雛人形を飾り、親類や親しい友人などを招いて女の子の成長を祝う行事です。
雛祭りに雛人形を飾って祝うようになったのは、室町時代からといわれています。当時は貴族や武家などの上流社会や京都といった一部の都市だけで行われていました。江戸時代になると五節句の1つに定められたこともあり、庶民の間でも広く行われるようになりました。
●雛人形の飾り方
お雛様の一夜飾りは縁起が悪いとされており、雛祭りの1週間から10日前あたりに飾り始めるのが一般的です。
・1段目…内裏雛
内裏雛の飾り方は、関東と関西では左右が反対です。雛壇に向かって左に男雛、右に女雛が関東流で、その逆が関西流です。現在は関東流が一般的です。屏風を背に内裏百人一首なの両脇にはぼんぼり、中央に1対の瓶子(へいし・徳利)を置きます。
・2段目…三人官女
左からそれぞれ堤子(ひさげ)、三方(さんぽう)、長柄銚子(ながえのちょうし)を持っています。
・3段目…五人囃子(ばやし)
左から太鼓、大鼓(おおつづみ)、小鼓、笛、謡(うたい)の順で並び、日本の古典芸術・能の囃子方(はやしかた)を模しています。
・4段目…随身
4段目は向かって右が左大臣、左が右大臣です。左大臣は最高位の官人で老人、右大臣は若者で、ともに内裏雛を補助します。その間に菱餅や白酒、あられなどの膳部を飾ります。
・5段目…仕丁(しちょう)
立傘、踏台、台笠をもつ仕丁(雑役を司る者)がいて、笑い、真面目、泣きの表情をしています。この三仕丁の左に右近の橘、右に左近の桜を配置します。この2種類の樹木は宮廷の庭をたとえています。
・6段、7段目…雛道具
たんす、長持、鏡台、針箱、駕籠(かご)、御所車(ごしょぐるま)などの嫁入り道具を飾ります。
●雛人形の片づけ方
片づけは3月3日の翌日には済ませるようにします。片づけが遅れると娘が縁遠くなるという俗信があります。
また、古くなったお雛様は捨てずに、焼いて供養するのが、一般的な習わしです。
①扇などの小物をはずし、乾いた筆でていねいにほこりを取ります。
②やわらかい薄紙で顔を包みます。
③防虫剤などを入れ、隙間には丸めた薄紙を入れて固定します。
●雛祭りのごちそう
雛祭りには春の素材をふんだんに使った色鮮やかなちらし寿司のほかに、定番の草餅、菱餅、雛あられ、蛤(はまぐり)のお吸い物、白酒などが用意されます。それぞれに昔からの由来があります。
・草餅
雛祭りは「草餅の節句」ともいわれるように、草餅は雛祭りには欠かせないものになっています。古くは母子草(ははこぐさ)が使われ、後によもぎを使って作るようになりました。母子草とよもぎは薬草で、邪気を祓う魔よけの効果があると信じられてきました。
・菱餅
上から赤、白、緑の3枚の餅を菱形に切って重ねたもの。
3色は、それぞれ桃の花、白酒、よもぎを表しています。また、赤は疫病よけ・魔よけ、白は清浄、緑のよもぎは邪気を祓う力があるといわれています。尖った菱形は、竜に襲われそうになった娘を菱の実で退治して救ったという、インド仏典の説話に由来しています。その形に、娘の健やかな成長を願う気持が込められるようになったといわれています。
・雛あられ
餅や豆などに砂糖をからめて炒ったものです。あられはもともと携帯用の食べものでした。炒ったときによくはぜると吉、あまりはぜないと凶と、昔はその年の吉凶を占ったともいわれています。
・蛤のお吸い物
旧暦3月3日には海岸に出て、磯遊びをする風習がありました。雛祭りのお吸い物に蛤を用いるのは、採った貝類を神様に供え、その後に食べて祝った名残といわれています。
また貝合わせの遊びで知られているように、蛤には夫婦和合の願いが込められているとか、汚れた海には住まないので純潔を意味するなどともいわれています。
・白酒
白酒は子どもでも飲めるように、餅米の粥に麹(こうじ)を加えて醸(かも)した甘い香りのするお酒です。
白酒が雛祭りに飲まれるようになったのは、江戸時代後期からです。当時は祭りや婚礼など、特別な日だけに作られていたといいます。
──『和ごよみと四季の暮らし』新谷尚紀・監修(日本文芸社/2007年)
最近は、住宅事情なのか檀飾りの雛人形は見なくなった気がします。
人形店に展示されているものも、ほとんどがお内裏様とお雛様、夫婦雛だけがガラスケースに入っている人形ばかり目につきます。
私が子どもの頃、女の子の家にお呼ばれしたときは、雛壇の前で食事をいただいたものでしたが──。
まぁ、和室がある家も少なくなってますし、仮にあってもそんなに広くないでしょうし。
場所をとる上に、飾る・しまうの手間がありますからね、仕方ないんでしょう。
初節句に飾る吊るし雛をアレンジした吊るし飾りを趣味として作る方も増えているようですね。
先日偶然立ち寄った施設で、吊るし飾りの展示をされていたグループの指導者の方と、いろんなお話を伺いました。
モノづくりが好きな「cocolo supplie ココロさぷり」にはいい刺激になりました。
さて、動画に用いた素材にも触れなくちゃ。
写真は AC WORKS さん(これはサイトを運営している会社名で、写真の他にもイラストやシルエットなど各種素材を提供されています。興味がある方は末尾のバナーからどうぞ)と Photo Library さん(https://www.photolibrary.jp/)。
どちらもかなりの頻度でお世話になっています。
高品質の写真を取り揃えているので、どちらのサイトも重宝しています。
いつもありがとうございます。
Photo Library さんは「百人一首 100 verses by 100 poets」シリーズで主に使わせていただいてます。
音楽は音楽研究所さん (http://www.asahi-net.or.jp/~HB9T-KTD/music/musj.html)による童謡のアレンジなので、皆さんよくご存知でしょう。
以前にも使わせていただいてますが、その動画はコチラ。
(時期的にはちょっとズレがありますが)
なお、この動画は「annual events in Japan 日本の年中行事」シリーズとして再生リストに登録してあります。
季節モノなので、その時期にご覧いただくほうがいいと思うので、リンクはなしです。
「時期に関係ない観たい」という方は、検索するか、チャンネルのトップから再生リストを見てみてください。
トップページ⇒https://goo.gl/XkZufY
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