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後撰・巻十一
Gosen(waka)-shu, vol.11 |
恋
love |
女の許に遣しける──三条右大臣
sending to a woman | ||
名にし負はば
逢坂山の
さねかづら
人に知られで
来るよしもがな |
なにしおわば
おうさかやまの
さねかずら
ひとにしられで
くるよしもがな |
Na ni shi owaba
Ausaka yama no
Sanekazura
Hito ni shirarede
Kuru yoshi mo gana. |
「逢って寝る」という名をもつ逢坂山のさねかずらならば、そのつるをたぐるように、誰にも知られずに来る方法があればいいのだがなあ |
I hear thou art as modest as
The little creeping spray
Upon Mont Osaka, which hides
Beneath the grass; then, pray,
Wander with me to-day. | |
技巧を凝らした心のつぶやき
つる草のさねかずらとともに恋人へ送った、「あなたのもとへ逢いに行きたい」という心のつぶやきをストレートに歌った一首。気持ちはストレートだが、「あう」「さね」「くる」の3つの掛詞を使った技巧的な歌でもある。
男性の立場では、女性のもとへ「行く」となるが、心を女性のもとに置き、そこへ自分が「来る」というふうに表現する。「来る」=「行く」は《歌021》もそうであるように、よく使われる表現である。 | The writer’s real name was Sadakata Fujiwara, and he died A.D. 932. For an account of the Fujiwara family see verse No. 18. Mount Osaka mentioned here is the same place as that referred to in verse No. 10, and when spelled Ausaka it means ‘a hill of meeting’. The suggestion is, that if she is really like the creeping vine which grows on Meeting Hill, she will come and meet him. | |
三条右大臣 | さんじょうのうだいじん | THE MINISTER-OF-THE-RIGHT OF THE SANJO (DISTRICT OF KYOTO) |
藤原定方(ふじわらのさだかた・873~932)。内大臣高藤の次男。延喜6(906)年右権中将。醍醐天皇の延長2(924)年正月、大納言から右大臣となる。邸が京都の三条にあったので三条右大臣とよばれた。兼輔《歌027》は従兄弟。
和歌を好み、管絃に秀でた才人であった。家集に「三条大臣集」があり、「古今集」に1首、「後撰集」に9首、「新勅撰集」に4首など、勅撰集に16首はいっている。 |
後撰和歌集(ごせんわかしゅう)
平安中期、第2番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
20巻。歌数約1400首。951年村上天皇の命で源順(みなもとのしたごう)ら「梨壺の五人」が編集。歌の作者はほぼ『古今和歌集』と重なり、撰者の歌は入れていない。特色として贈答歌が多く、詞書が長いことがあげられるが、これは歌集の物語化を意味する。
──『日本史事典』
動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。
A…作品番号 number of the verse
B1…作者 poet
B2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002)
B3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down)
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.
右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.
余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。
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