2017年3月7日火曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #028


028
古今・巻六
Kokin(waka)-shu, vol.6
winter
冬の歌とてよめる──源宗于朝臣
as a verse of winter
山里は
冬ぞさびしさ
まさりける
人目も草も
かれぬと思へば
やまざとは
ふゆぞさびしさ
まさりける
ひとめもくさも
かれぬとおもえば
Yama zato wa
Fuyu zo sabishisa
Masari keru
Hito-me mo kusa mo
Karenu to omoeba
山里は、冬がとくに寂しさがまさって感じられることだ。人が訪ねてこなくなり、草も枯れてしまうと思うので
The mountain village solitude
In winter time I dread;
It seems as if, when friends are gone,
And trees their leaves have shed,
All men and plants are dead.
すべてが静まりかえった寂びの境地
都から離れた山里の冬をしみじみと味わうように表現している。草が枯れる風景と、人目がかれる(人の行き来がなくなる)ことを掛け、墨絵のような描写には寂寞とした雰囲気が漂う。
「山里」は『古今集』のころから使われる歌詞で、中国の隠遁(いんとん)思想が影響しているという。山里をただの寂しい場所としてとらえるのではなく、静寂の趣(寂び)の境地としてみている。
The poet was a grandson of the Emperor Kwoko, and died A.D. The Minamoto family, who sprang from the Emperor Seiwa, who reigned 856-877, was at one time very powerful, and produced many famous men, including Yorimoto, the great founder of the Shogunate. The Taira family and the Minamotos were the Yorks and Lancaters of mediaeval Japan; but, after thirty years of warfare, Yorimoto finally defeated his rivals in a great battle fought at Dan-no-ura, in the Straits of Shimonoseki, in 1185; the entire Taira family was exterminated, including women and children, and the infant Emperor Antoku. The Minamoto clan themselves became extinct in 1219, when Sanetomo was murdered at Kamakura, as related in the note to verse No. 93.
源宗于朝臣 みなもとのむねゆきあそん THE MINISTER MUNEYUKI MINAMOTO
生年未詳。孝光天皇《歌015》第一皇子是忠(これただ)親王の子。右京太夫、正四位。天慶2(939)年没。
36歌仙の一人。「古今集」に6首、「後撰集」に3首、「新勅撰集」などに6首入首。家集に「宗于集」。秀歌に「つれもなくなり行く人の言の葉ぞ秋よりさきの紅葉なりける」「あはずして今宵明けなば春の日のながくや人をつらしと思はん」などがある。

古今和歌集(こきんわかしゅう)

平安中期、日本最初の勅撰和歌集
略称『古今集』。20巻。歌数約1100首。醍醐(だいご)天皇の勅により編集を始め、905(延喜5)年撰進された。撰者は紀貫之《歌035》、凡河内躬恒《歌029》、紀友則《歌033》、壬生忠岑《歌030》ら。『万葉集』に入らなかった古歌とそれ以後の新しい歌を集大成したもので、巻頭に貫之の「仮名序」、巻尾に紀淑望(よしもち)の「真名序」を置く。歌風は七五調・体言止めが多く、優美典雅、理知的で機知を尊ぶ。のちの勅撰和歌集の理想となった。代表歌人としては撰者らのほかに六歌仙がいる。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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