033 |
古今・巻二
Kokin(waka)-shu, vol.2 |
春
spring |
さくらの花のちるをよめり──きのとものり
watching cherry blossoms falling | ||
久方の
光のどけき
春の日に
しづ心なく
花の散るらむ |
ひさかたの
ひかりのどけき
はるのひに
しずこころなく
はなのちるらん |
Hisakata no
Hikari nodokeki
Haru no hi ni
Shizu kokoro naku
Hana no chiruramu. |
日の光がのどかにさしている春の日に、落ち着いた心もなく、桜の花はどうしてはらはらと急いで散っているのであろうか |
The spring has come, and once again
The sun shines in the sky;
So gently smile the heavens, that
It almost makes me cry,
When blossoms droop and die. | |
散る桜に無常観を見る
ある晴れた春の日のゆったりとした気分と、それに相反するようにあわただしく散る桜を咎める気持ちを詠みこんだ風流な一首。「の」の音を重ねた流麗な響きが心地よく、愛唱しやすい歌でもある。
散りゆく花を惜しみながら、過ぎゆく春にも思いを寄せるようであり、なにごとも不変ではないという無常の世界を暗示しているようにも取れる。はかなげな春の雰囲気をそのまま詠み込んだ名歌である。 |
Tomoyuki Ki was the grandson of Uchitsukune Take, a famous warrior, and nephew of Tsurayuki, who composed verse No. 35; he was one of the compilers of the Kokinshiu, and died at the beginning of the tenth century. He refers in this verse to the fall of the cherry blossoms.
Hisakata is a ‘pillow-word’ for heaven, without any definite meaning in the present day; it is generally used in poetry in conjunction with such words as sun, moon, sky, or, as in this case, ‘the light’ (of heaven).
[The picture shows the poet with his attendant, watching the petals falling from the cherry tree.] | |
紀友則 | きのとものり | TOMONORI KI |
生年未詳。武内宿禰(たけうちのすくね)の子孫の紀有朋(きのありとも)の子。紀貫之《歌035》の従兄弟。延喜4(904)年大内記、五位。翌5年、貫之らと「古今集」撰者の一人に選ばれたが、撰(せん)が完了しない同年2月に61歳で病死した。友則の死を悼む貫之の歌に「明日知らぬわが身と思へどくれぬまの今日は人こそかなしかりけり」(古今集)がある。
36歌仙の一人で、「古今集」に46首のほか、「後撰集」などに20首はいっている。家集に「友則集」があり、古今集時代の代表的歌人である。秀作に「夕されば佐保の河原の河霧に友まどわせる千鳥なくなり」がある。 |
平安中期、日本最初の勅撰和歌集
略称『古今集』。20巻。歌数約1100首。醍醐(だいご)天皇の勅により編集を始め、905(延喜5)年撰進された。撰者は紀貫之《歌035》、凡河内躬恒《歌029》、紀友則《歌033》、壬生忠岑《歌030》ら。『万葉集』に入らなかった古歌とそれ以後の新しい歌を集大成したもので、巻頭に貫之の「仮名序」、巻尾に紀淑望(よしもち)の「真名序」を置く。歌風は七五調・体言止めが多く、優美典雅、理知的で機知を尊ぶ。のちの勅撰和歌集の理想となった。代表歌人としては撰者らのほかに六歌仙がいる。
──『日本史事典』
動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。
A…作品番号 number of the verse
B1…作者 poet
B2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002)
B3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down)
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.
右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.
余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。
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