2017年3月6日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #027


027
新古今・巻十一
Shin-kokin(waka)-shu, vol.11
love
題知らず──中納言兼輔
untitled
みかの原
わきて流るる
泉川
いつ見きとてか
恋しかるらむ
みかのはら
わきてながるる
いずみがわ
いつみきとてか
こいしかるらん
Mika no hara
Wakite nagaruru
Izumi gawa
Itsu miki tote ka
Koishi-karuramu.
瓶原を分けて、湧いて流れる泉川の名ではないが、あなたをいつ見たというので、こんなに恋しいのだろうか
Oh! Rippling River Izumi,
That flows through Mika plain,
Why should the maid I saw but now
And soon shall see again
Torment my love-sick brain?
思いは軽やかな調べに乗って海へ
なによりも流れるような調べが特徴の、覚えやすい歌である。まさに、山からわき出た川が大海へ注ぐその流れに、恋心を乗せて歌っているようだ。
作者は相手と、まだ逢ったことがないのか、それとも一度逢って、その後逢えずにいるのか、解釈が分かれるが、「わきて」に「分きて」が掛かっていることから、なんらかの事情で逢うことができない状態にあることは確かなようだ。
Kanesure was a member of the Fujiwara family; he died in the year 933. The River Izumi is in the Province of Yamashiro.
The word-palys in this verse are---Izumi, in the third line, which is imitated in the next line, and Mika, which is also repeated in the third line. The first three lines of this verse, about the river flowing through the plain, from a ‘preface’, and appear to be inserted merely because itsu miki (when I have seen her) sounds like Izumi.
中納言兼輔 ちゅうなごんかねすけ THE IMPERIAL ADVISER KANESUKE
藤原兼輔(877933)。藤原俊基の六男。左大臣冬嗣(ふゆつぐ)の曽孫。邸が賀茂川ちかくにあったので堤中納言とよばれた。紫式部《歌057》の曽祖父で、定方(さだかた)《歌025》の従兄弟。
「人の親の心は闇にあらねども子を思ふ道にまどひぬるかな」(後撰集)が代表作として知られる。家集に「兼輔集」があり、勅撰集には56首はいっている。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉初期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇の命で藤原定家《歌097》、藤原家隆《歌098》、寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

PHOTO (F):
木津川.jpg by 吉田宅浪

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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