2017年3月12日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #029


029
古今・巻五
Kokin(waka)-shu, vol.5
autumn
しらぎくの花をよめる──凡河内躬恒
about white chrysanthemum flowers
心あてに
折らばや折らむ
初霜の
置きまどはせる
白菊の花
こころあてに
おらばやおらん
はつしもの
おきまどわせる
しらぎくのはな
Kokoro-are ni
Orabaya oramu
Hatsu shimo no
Oki madowaseru
Shira giku no hana.
折るならば、あて推量で折ってみようか。一面に降りた初霜が見分けにくくしている白菊の花を
It was a white chrysanthemum
I came to take away;
But, which are colored, which are white,
I’m half afraid to say,
So thick the frost to-day!
早朝の冷えた空気と純白の世界
冬の入口に、初めて降りた霜の白と菊の白を混ぜ合わせて、目もくらむほどの純白の世界が広がっている。早朝のしんと澄み切った空気までもが感じられるようである。
霜にまぎれて白い菊の見分けがつかないというのは、確かに誇張した表現だが、実際の景色を写実的に歌うのでななく、連想や観念的な情緒を重んじたこの時代の傾向をうまくくみ取った象徴的な歌である。真実味に欠けるとしても、初霜の真っ白なすがすがしさを表現する手段としては、この時代独特の妖艶(ようえん)で幻想的な空言(そらごと)だといえるだろう。
Mitsune lived some time in the beginning of the tenth century, and was one of compilers of Odes Ancient and Modern (the Kokinshiu).
[The illustration shows him with a boy in attendance, trying to make up his mind which flower he will pick.]
凡河内躬恒 おおしこうちのみつね MITSUNE OSHI-KOCHI
生没年未詳。寛平6(894)年甲斐権少目(かいのごんしょうさがん)、延喜7(907)年丹後権大目(たんごのごんだいさがん)、同11年に和泉大掾(いづみのだいじょう)にすすみ六位。終生、位の低い国司であったが、歌人としては当時の代表格。
貫之《歌035》、忠岑らとともに「古今集」撰者となり、36歌仙の一人でもある。家集に「躬恒集」があり、勅撰集には194首はいっている。秀歌としては「わが宿の花見がてらに来る人は散りなんのちぞ恋しかるべき」(古今集)、「わが恋はゆくへも知れず果てもなし逢ふを限りと思ふばかりぞ」などが知られている。

古今和歌集(こきんわかしゅう)

平安中期、日本最初の勅撰和歌集
略称『古今集』。20巻。歌数約1100首。醍醐(だいご)天皇の勅により編集を始め、905(延喜5)年撰進された。撰者は紀貫之《歌035》、凡河内躬恒《歌029》、紀友則《歌033》、壬生忠岑《歌030》ら。『万葉集』に入らなかった古歌とそれ以後の新しい歌を集大成したもので、巻頭に貫之の「仮名序」、巻尾に紀淑望(よしもち)の「真名序」を置く。歌風は七五調・体言止めが多く、優美典雅、理知的で機知を尊ぶ。のちの勅撰和歌集の理想となった。代表歌人としては撰者らのほかに六歌仙がいる。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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