2017年3月13日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #030


030
古今・巻十三
Kokin(waka)-shu, vol.13
love
題知らず──みぶのたゞみね
untitled
有明の
つれなく見えし
別れより
暁ばかり
憂きものはなし
ありあけの
つれなくみえし
わかれより
あかつきばかり
うきものはなし
Ariake no
Tsurenaku mieshi
Wakare yori
Akatsuki bakari
Uki-mono wa nashi
冷ややかな素振りの明け方の月が空にかかっていたあの別れから、私にとって夜明けほどつらいものはありません
I hate the cold unfriendly moon,
That shines at early morn;
And nothing seems so sad and grey,
When I am left forlorn,
As day’s returning dawn.
逢瀬のあとは月さえもつれなく見える
この時代、夜明けは男女の別れの時間であった。日が暮れて女性を訪ねた男性は、日の出以前に女性のもとを去る。その帰り道、空を見上げて有明の月を恨めしく思うのだ。そしてそのときの感情は、たとえその恋が終わりを告げても、有明の月を見るたびに呼び起こされるに違いない。
この歌の解釈は大きくふたつに分かれる。問題は「つれなく」していたのは月か、それとも相手の女性かという点で、『古今集』の配列では、この「有明の~」の歌は、逢わないで別れた歌のなかに位置しており、女性のもとに行ったのに逢ってもらえず、冷たくされたということになる。
一方で、定家は「月」説ととらえていたようで、女性と逢った後、後ろ髪を引かれる思いで泣く泣く別れたその帰り道に、素知らぬ顔した冷たい月が上がっているのを見てつれなく思った、と浪漫あふれる解釈をしている。
The writer lived to the age of ninety-nine, and died in the year 965. He was, like the composer of the previous verse, one of the compilers of the Kokinshiu, and was also the father of the author of verse No. 41.
[The picture seems to show the poet all alone looking out at the early dawn, but the moon is not visible.]
壬生忠岑 みぶのただみね TADAMINE MIBU
生没年未詳。安綱(やすつな)の子。息子は忠見(ただみ)《歌041》。「古今集」撰者の一人で、36歌仙の一人でもある。身分は藤原定国の随身で、摂津権大目で六位であった。康保(こうほう)2(965)年に98歳で没したという説がある。
家集に「忠岑集」があり、「忠岑十体」の歌論書が有名。勅撰集には「古今集」の35首をはじめ47首はいっている。

古今和歌集(こきんわかしゅう)
平安中期、日本最初の勅撰和歌集
略称『古今集』。20巻。歌数約1100首。醍醐(だいご)天皇の勅により編集を始め、905(延喜5)年撰進された。撰者は紀貫之《歌035》、凡河内躬恒《歌029》、紀友則《歌033》、壬生忠岑《歌030》ら。『万葉集』に入らなかった古歌とそれ以後の新しい歌を集大成したもので、巻頭に貫之の「仮名序」、巻尾に紀淑望(よしもち)の「真名序」を置く。歌風は七五調・体言止めが多く、優美典雅、理知的で機知を尊ぶ。のちの勅撰和歌集の理想となった。代表歌人としては撰者らのほかに六歌仙がいる。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。







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