2017年4月1日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #038


038
拾遺・巻十四
Shui(waka)-shu, vol.14
love
題知らず──右近
untitled
忘らるる
身をば思はず
誓ひてし
人の命の
惜しくもあるかな
わすらるる
みをばおもわず
ちかいてし
ひとのいのちの
おしくもあるかな
Wasuraruru
Mi oba omowazu
Chikaite-shi
Hito no inochi no
Oshiku mo aru kana.
忘れられる私の身のことはなんとも思いません。ただ神に永遠の愛を誓ったあなたの命が罰を受けて失われるのが惜しまれてなりません
My broken heart I don’t lament,
To destiny I bow;
But thou hast broken solemn oaths,
I pray the Gods may now
Absolve thee from thy vow.
恋慕と皮肉と後悔と
神に誓い合った愛が破れて、自分の身はどうなっても構わないが、心変わりした相手の身を案じる、悲しい女心を歌った。相手を恨みきれない未練が感じられるが、一方で、強烈な皮肉にもとれる。また、神にまで誓ってしまった自分の愚かしさを悔やんでいるように思える。いずれにしろ、実感のこもる女心である。
『大和物語』などにも見える歌だが、それによれば、歌の相手は藤原敦忠(ふじわらのあつただ)《歌043》であるようだ。
The Lady Ukon is supposed to have been deserted by her husband, and in this poem she regrets, not so much her own sorrow, as the fact that he has broken his sworn oath, and is therefore in danger of divine vengeance.
[The illustration show her all alone at the gate, with the house in the background, evidently waiting for the husband who has forsaken her.]
右近 うこん UKON
生没年未詳。右近衛少将藤原季繩(ふじわらのすえつな)の娘で、右近とは父の官職にちなむ呼称である。醍醐(だいご)天皇の皇后七条穏子(おんし)に仕えた。「大和物語」によると、《歌043》の「逢ひ見ての……」の作者権中納言藤原敦忠(あつただ)との愛と失恋や、桃園宰相源保光(みなもとのやすみつ)などとの愛がうかがえる。
「後撰集」に5首、「拾遺集」に3首、「新勅撰集」に1首はいっている。

拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

平安中期、第3番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
100509年成立。20巻。歌数約1350首。撰者は花山院、藤原公任《歌055》の2説がある。風情が可憐で調べはしめやか。歌風としての優雅を完成した。集名は『古今和歌集』『後撰和歌集』にもれ遺(のこ)ったものを拾うの意による。
  ──『日本史事典』

PHOTO (F): Kibune7234.jpg by mariemon
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動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2 件のコメント:

  1. 返信
    1. コメントありがとうございます。返信がとても遅くなってごめんなさい。日本の歌(詩や和歌)には悲しい歌が多いです。楽しい歌もありますが、悲しい歌のほうが多いと思います。
      Thank you for the comment. So sorry for the delay of response. Japanese poems are sad mostly. There are a few of joy, but sad ones are majority, I think.

      削除

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