2017年4月9日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #042



042
後拾遺・巻十四
Go-shui(waka)-shu, vol.14
love
心かはり侍(はべ)りける女に、人に代りて──清原元輔
representing a man whose wife changed her mind
契りきな
かたみに袖を
しぼりつつ
末の松山
浪越さじとは
ちぎりきな
かたみにそでを
しぼりつつ
すえのまつやま
なみこさじとは
Chigiriki na
Katami-ni sode o
Shibori-tsutsu
Sue no Matsu-yama
Nami kosaji to wa.
かたく誓いましたね。お互いに涙に濡れた袖を何度もしぼりながら、末の松山を浪が越えることがないように、ふたりの心も決して変わるまいとね
Our sleeves, all wet with tears, attest
That you and I agree
That to each other we’ll be true,
Till Pine-tree Hill shall be
Sunk far beneath the sea.
確かに誓ったのにお忘れだろうか
『後拾遺集』の詞書(ことばがき)は「心かはり侍(はば)りける女に、人に代りて」とある。心変わりした女性に不実を責める歌を、人に頼まれて作者が代作したものである。
名高い歌枕である末の松山を織り込むことによって、非常に間接的に怒りや失望を表現している。間接的ではあるが、その思いの強さが初句の、「誓ったではないか」と言い切るところに現れている秀歌である。
Motosuke lived towards the close of the tenth century, and was the son of the writer of verse No. 36. The idea of one’s sleeves being wet with tears is a common one in Japanese poetry. Matsu-yama, or Pine-tree Hill, is in Northern Japan, on the boundaries between the Provinces of Rikuchu and Nambu.
[In the illustration the hill with the pine tree on the top appears to be just sinking beneath the waves.]
清原元輔 きよはらのもとすけ MOTOSUKE KIYOHARA
908990。顕忠(あきただ)の子で(一説には春光の子とも)清少納言《歌062》の父。清原深養父(きよはらのふかやぶ)《歌036》の孫。寛和(かんな)2(986)年の正月に肥後守になった。
歌人が輩出した家柄で、和歌所寄人(わかどころよりゅうど)となり、「万葉集」に訓点をつけた。内裏後宮五舎の一つである梨壺(なしつぼ)の五人の一人として「後撰集」の撰集にあたる。36歌仙の一人で、家集に「元輔集」がある。
「拾遺集」に48首をはじめ、勅撰歌は105首と多い。

後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)
第4番目の勅撰集。藤原通俊(みちとし)撰。白河天皇の命で1086(応徳3)年に奏覧、改訂をへて87(寛治元)年に完成。「古今集」以来の仮名序をもち、四季6巻・賀・別・き旅・哀傷・恋4巻・雑6巻の20巻。歌数1218首。雑6に神祇歌と釈教歌をはじめて収録。主要歌人は和泉式部《歌056》(67首)、相模《歌065》(40首)、赤染衛門《歌059》(32首)、能因《歌069》(31首)、伊勢大輔《歌061》(27首)など。女流の進出が目立つ。源経信により勅撰集に対するはじめての論難「難後拾遺」が書かれた。
 ──『山川 日本史小辞典』


動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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