2017年5月22日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #061


061
詞花・巻一
Shika(waka)-shu, vol.1
spring
一条院御時ならの八重桜を人の奉りけるをそのをり御前に侍ければそのはなを題にて歌詠めとおほせごとありければ──伊勢大輔
order by Emperor Ichijo when people provided double-petaled cherry from Nara to the emperor
いにしへの
奈良の都の
八重桜
けふ九重に
にほひぬるかな
いにしえの
ならのみやこの
やえざくら
きょうここのえに
においぬるかな
Inishie no
Nara no Miyako no
Yaezakura
Kyo kokonoe ni
Nioi nuru kana.
昔の奈良の都の八重桜が、今日はこの九重の宮中で、いっそう美しく咲き誇っている
The double cherry trees, which grew
At Nara in past days,
Now beautify this Palace, and
Their blossoms all ablaze
Perfume the royal ways.
伊勢大輔の華々しいデビュー作
《歌060》と同じく、歌とともに逸話が伝えられる一首である。
一条天皇の時代に、奈良から八重桜が謙譲された。それを受け取る役を務めるはずの紫式部《歌057》は、まだ出仕して間もない女房の伊勢大輔にその役を譲った。さらに道長(みちなが)から一首詠むように命じられ、とっさに詠んだのがこの歌である。
作者は頼基(よりもと)、能宣(よしのぶ)《歌049》、輔親(すけちか)など歌人の多い家系に生まれ、その歌才が注目されていた。歌人としての力量を試されるプレッシャーのなかで、桜の美しさをたたえながら、一条天皇の宮廷もたたえ、技巧をちりばめた詞(ことば)を「の」音を重ねた流麗な調べに乗せて詠み切ったのである。
このときの様子を『袋草紙(ふくろぞうし)』は「殷を始め奉りて万人感歎、宮中鼓動す」と伝えている。歌人として、これ以上ない華々しいデビューであった。
The Lady Ise was another of the famous literary women, the distinguished the Imperial Court at the end of the tenth century; she was associated with the Province of Ise, from which she gets her name. Nara was the capital city from A.D.709 to 784, after which the Court moved to Kyoto. It is related, that during the reign of the Emperor Ichijo (A.D. 987-1011) a nobleman presented him with a spray of the eight-petalled cherry trees that grew at Nara; the Emperor was so delighted, that he had the trees, or perhaps cuttings from them, brought to Kyoto, and this verse commemorates the event.
Kokonoe (Palace) really means ‘ninefold’, and refers to the nine enclosures of the Imperial Residence; it is here contrasted with yaezakura, the eightfold or double cherry blossom.
伊勢大輔 いせのだいふ THE LADY ISE
生没年未詳。大中臣能宣(おおなかとみのよしのぶ)の孫で、伊勢の祭主(さいしゅ)輔親(すけちか)の娘である。父が伊勢の祭主で神祇官の大輔、のち伯であったので伊勢大輔と呼ばれた。歌人が輩出した家に育ち、上東門院彰子に仕え、紫式部《歌057》、和泉式部《歌056》、相模《歌065》らと親交、長久2(1041)年ころ歌人として名が知られた。のち、筑前守(ちくぜんのかみ)高階成順(たかはしなりよし)の妻となった。
中古36歌仙の一人で、「伊勢大輔集」があり、「後拾遺集」などに51首はいっている。

詞花和歌集(しかわかしゅう)

第6番目の勅撰集。藤原顕輔(あきすけ)《歌079》撰。崇徳上皇《歌077》の下命。1151(仁平元)年頃の成立。「金葉集」と同じく10巻で、歌数は409首と勅撰集では最も少ない。曾禰好忠《歌046》・和泉式部《歌056》・大江匡房(まさふさ)・源俊頼らが多く入集。「後拾遺集」期の歌を重視している。古来、玉石混交と評される。藤原教長(のりなが)「拾遺古今」(散逸)、藤原為教(寂超)「後葉和歌集」は「詞花集」を批判した撰集。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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