2017年5月13日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #056



056
後拾遺・巻十三
Go-shui(waka)-shu, vol.13
love
心地例ならず侍ける比(ころ)人のもとにつかはしける──和泉式部
sending to a man when dying by ill
あらざらむ
この世のほかの
思ひ出に
今ひとたびの
逢ふこともがな
あらざらむ
このよのほかの
おもいでに
いまひとたびの
あうこともがな
Arazaramu
Kono yo no hoka no
Omoide ni
Ima hito tabi no
Au koto mo gana.
私はまもなく死んでこの世を去るでしょう。あの世への思い出に、せめてもう一度だけでもあなたにお逢いしたいものです。
My life is drawing to a close,
I cannot longer stay,
A pleasant memory of thee
I fain would take away;
So visit me, I pray.
あの世で思い出すために最後の逢瀬を
病に伏せて死を覚悟したとき、せめてもう一度愛する人に逢いたいと願う切実な心情が素直に表現されている。最愛の人との最期の逢瀬を胸にあの世へ旅立ちたいという発想は、恋に生きた和泉式部の人生そのものを象徴するかのような一首である。
作者の抒情豊かな作風は後世へ多大な影響を与えた。この歌の「あらざらむこの世のほかの」という表現も独特の世界観をよく表している。
This lady was the daughter of Masamine Oye, and the wife of Michisada Tachibana, Governor of the Province of Izumi, hence her name; and also was the mother of the author of verse No. 60. She lived about the latter end of the tenth century, and was one of the lady poets who gave distinction to that period. The verse was addressed to her husband or lover just before her death, [and in the illustration we see her on her deathbed, with two servants in the foreground.]
和泉式部 いずみしきぶ IZUMI SHIKIBU
本名は弁内侍(べんのないじ)(生没年未詳)。康保3(966)以後の生まれ。越前守大江雅致(えちぜんのかみおおえまさむね)の娘で、和泉守橘道貞(たちばなのみちさだ)の妻となる。小式部内侍《歌060》を産む。夫と死別後、冷泉(れいぜい)天皇の皇子弾正宮為尊(だんじょうのみやためたか・ためやす)、その弟の帥宮敦道(そちのみやあつみち)に愛され、この二親王との恋愛を記したのが「和泉式部日記」である。両親王没後は中宮彰子(しょうし)に仕える。さらに藤原保昌(ふじわらのやすまさ)と結婚し、丹後に下った。
中古36歌仙の一人で「和泉式部集」がある。勅撰歌は「拾遺集」などに238首。

後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)

第4番目の勅撰集。藤原通俊(みちとし)撰。白河天皇の命で1086(応徳3)年に奏覧、改訂をへて87(寛治元)年に完成。「古今集」以来の仮名序をもち、四季6巻・賀・別・き旅・哀傷・恋4巻・雑6巻の20巻。歌数1218首。雑6に神祇歌と釈教歌をはじめて収録。主要歌人は和泉式部《歌056》(67首)、相模《歌065》(40首)、赤染衛門《歌059》(32首)、能因《歌069》(31首)、伊勢大輔《歌061》(27首)など。女流の進出が目立つ。源経信により勅撰集に対するはじめての論難「難後拾遺」が書かれた。
 ──『山川 日本史小辞典』


動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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