2017年5月21日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #060


060
金葉・巻九
Kin’yo(waka)-shu, vol.9
other
和泉式部保昌に具(ぐ)して丹後に侍ける比(ころ)都に歌合侍りけるに小式部内侍歌詠みにとられて侍けるを中納言定頼つぼねのかたにおうできて歌いかがさせ給ふ丹後へ人はつかはしけむやつかひはまうでこずやいかに心もとなくおぼすらむなどたはぶれて立(たち)けるをひきとどめてよめる──小式部内侍
responding to Sadayori pulling legs saying “did you asked your mother to make verses?”, invited to a verse competition when her mother was gone to Tango
大江山
いく野の道の
遠ければ
まだふみも見ず
天の橋立
おおえやま
いくののみちの
とおければ
まだふみもみず
あまのはしだて
Ohoye yama
Ikuno no michi no
Tohokereba
Mada fumi mo mizu
Ama-no-Hashidate.
母のいる丹後は、大江山を越え、生野を通って行く道が遠いので、まだ天の橋立を踏んだことはありませんし、母からの文も見ていません
So long and dreary is the road,
That I have never been
To Ama-no-Hashidate;
Pray, how could I have seen
The verses that you mean?
才気が光るとっさの一首
この歌にまつわる逸話が有名である。一流歌人の和泉式部(いずむしきぶ)《歌056》を母に持つ作者は、母が父について丹後へ行っている間に、歌合に招かれた。それを知った藤原定頼《歌064》が「母上に代作は頼みましたか。まだ使いは戻りませんか。さぞかしご心配でしょう」とからかったので、それを受けて即座に詠んだ歌である。これによって小式部内侍は代作疑惑を払拭すると同時に、歌人としても名を上げた。
Koshikibu was the daughter of the writer of verse No. 56, and early became known as a poetess. The story goes, that she was suspected of getting help from her mother in composing poetry; and on one occasion, during the absence of the latter at Ama-no-Hashidate, she was selected to take part in a poetical contest at Court. A day or two before the event a nobleman laughingly asked her, if she was not expecting a letter from her mother, hinting that she would otherwise be unable to produce a poem good enough for the contest, and she, touching his sleeve, improvised the above verse. The original brings in not only Ama-no-Hashidate, a picturesque bay in the Province of Tango, but also two other proper names, Mount Ohoye and Ikuno, which are on the road there from Kyoto; but this the translation fails to do.
The last couplet can mean ‘I have not walked to or seen Ama-no-Hashidate’ and also, ‘I have not seen any letter from Ama-no-Hashidate.’
小式部内侍 こしきぶのないし LADY-IN-WAITING KO-SHIKIBU
生年未詳。橘道真(たちばなのみちざね)の娘で、母は和泉式部《歌056》。母の式部にちなんで小式部と称された。母と同様に一条天皇の中宮彰子(しょうし)に仕えた。万寿2(1025)年に256歳の若さで病没。勅撰集にとられている歌は「後拾遺集」などに4首。

金葉和歌集(きんようわかしゅう)

第5番目の勅撰集。源俊頼(としより)《歌074》撰。白河法皇の下命。1124(天治元)年の初度本、翌年の二度本とも返却され、三奏本は26年かその翌年に草稿として奏覧され、そのまま受納されたという。書名は優れた和歌の集の意。四季・賀・別離・・恋上下・雑上下の10巻。代表歌人は源経信・源俊頼・藤原公実(きんざね)・藤原顕季(あきすえ)ら。「古今集」以来の伝統から脱した新鮮な歌風を特色とする。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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