2017年6月25日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #075


075
千載・巻十六
Senzai(waka)-shu, vol.16
other
僧都(そうず)光覚維摩会(ゆいまえ)の講師の請を申ける時たびたびもれにければ法性寺(ほっしょうじ)入道前太政大臣に恨み申けるをしめぢが原と侍ければまたその年ももれにければつかはしける──もととし
bearing against the Prime Minister who promised to make the priest’s son a lecturer, as failed again and again.
契りおきし
させもが露を
命にて
あはれ今年の
秋もいぬめり
ちぎりおきし
させもがつゆを
いのちにて
あわれことしの
あきもいぬめり
Chigiri okishi
Sasemo ga tsuyu o
Inochi nite
Aware kotoshi no
Aki mo inumeri.
約束して下さった「させも草云々」という恵みの露のようなお言葉を、命とも頼んできたのに、その望みも叶わず、ああ、今年の秋も空しく過ぎていくようです
It is a promise unfulfilled,
For which I humbly sue;
The dainty little mugwart plant
Relies upon the dew,
And I rely---on you.
子供の出世を願う切実な親の心情
詞書(ことばがき)を踏まえなければ意味の取りにくい歌である。
作者は10月に行われる興福寺の維摩会(ゆいまえ)の講師に僧である息子光覚(こうかく)を選んでくれるよう、藤原忠通(ふじわらのただみち)《歌076》に頼んだ。すると忠通は清水観音の歌の二句、三句(しめぢが原~)を口にして、頼みにせよと約束したので、作者は期待をしていた。しかし今年の秋もとうとう終りに近づき、裏切られたと落胆しているのである。
The writer lived early in the twelfth century, when the Court was given over to intrigue. Tadamichi Fujiwara, the Regent, had promised him a post of honor for his son, but had, year after year, failed to fulfil it. The verse is a gentle reminder, and the last couplet, which does not appear in the translation, delicately hints that the autumn of the present year also is slipping away.
[In the illustration we see Mototoshi addressing his petition to the Regent.]
藤原基俊 ふじわらのもととし MOTOTOSHI FUJIWARA
10541142。右大臣俊家(としいえ)の子であるが、世にいれられず、官位は従五位左衛門佐(さえもんのすけ)で終わった。84歳で出家。
旧風を代表する歌人で、俊成の師でもあり、詩文に秀でた。「新撰朗詠集」の撰者で、「藤原基俊集」があり、「金葉集」などに107首はいっている。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)

鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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