2017年6月4日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #066


066
金葉・巻九
Kin-yo(waka)-shu, vol.9
other
大峯にて思ひかけず桜のはなをみてよめる──僧正行尊
when seeing cherry blossoms unexpectedly at Omine Mountain.
諸ともに
哀れと思へ
山桜
花よりほかに
知る人もなし
もろともに
あわれとおもえ
やまざくら
はなよりほかに
しるひともなし
Morotomo ni
Aware to omoe
Yama zakura
Hana yori hoka ni
Shiru hito mo nashi.
私がお前を見上げて懐かしく思うように、お前も私を懐かしいと思ってくれ、山桜よ。花のお前のほかに私の心を理解してくれる者はいないのだ
In lonely solitude I dwell,
No human face I see;
And so we two must sympathize,
Of mountain cherry tree;
I have no friend but thee.
孤高の修行僧と山桜
修業のために入った大峰山で、思いがけず遅咲きの山桜に出会ったときの感動を詠んだ。12歳で出家し、天台座主(てんだいざす)にまで上りつめた行尊は、己と向き合う孤独な修業の途中に、緑の中、ただ1本咲き誇る生命力に満ちあふれる桜に共感し、都の春を懐かしく思い起こしたのだろう。
桜を詠んだ歌でありながら、主眼は桜に投影した自分の心に置いているところが巧みである。
The Archbishop is said to have ended his life in the year 1135, by the method described in the note to verse No. 12. The scene of this poem was the scared mountain Omine, in the Province of Yamato, famous for its cherry blossoms, [and the illustration shows the Priest with his two attendants addressing the cherry tree.]
大僧正行尊 だいそうじょうぎょうそん THE ARCHBISHOP GYOSON
10551135。参議源基平(みなもとのもとひら)の三男。三条天皇《歌068》の曾孫。10歳で父と死別、12歳で出家。17歳で諸国の名山霊地巡礼、修業の旅にでた。三井寺(みいでら)の僧正、延暦寺の座主(ざす)をつとめ、天治2(1125)年に大僧正となった名僧。白河天皇、鳥羽天皇、崇徳天皇《歌077》の護持僧(ごじそう)を務めた。
「行尊大僧正集」があり、「金葉集」「新古今集」などに勅撰歌47首ある。

金葉和歌集(きんようわかしゅう)

第5番目の勅撰集。源俊頼(としより)《歌074》撰。白河法皇の下命。1124(天治元)年の初度本、翌年の二度本とも返却され、三奏本は26年かその翌年に草稿として奏覧され、そのまま受納されたという。書名は優れた和歌の集の意。四季・賀・別離・・恋上下・雑上下の10巻。代表歌人は源経信・源俊頼・藤原公実(きんざね)・藤原顕季(あきすえ)ら。「古今集」以来の伝統から脱した新鮮な歌風を特色とする。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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