2017年6月19日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #073


073
後拾遺・巻一
Go-shui(waka)-shu, vol.1
spring
内のおおいまうち君(内大臣藤原師通)の家にて人々酒たうべて歌よみ侍りけるに遥(はるか)に山桜を望(のぞむ)といふ心をよめる──大江匡房朝臣
given theme of viewing cherry far away at a party at Minister Morimichi’s house.
高砂の
尾上の桜
咲きにけり
外山の霞
立たずもあらなむ
たかさごの
おのえのさくら
さきにけり
とやまのかすみ
たたずもあらなむ
Takasago no
Onoe no sakura
Saki ni keri
Toyama no kasumi
Tatazu mo aranamu.
高い山の峰の桜が咲いたことだ。あの桜が隠れてしまうから、里山の霞よ、どうか立たないでほしい
The cherry trees are blossoming
On Takasago’s height;
Oh may no mountain mist arise,
No clouds so soft and white,
To hide them from our sight.
遠くに霞む桜
この歌は、藤原師道(もろみち)邸で宴が催された際に、「遥望山桜」という題で詠まれたものだという。
実に平明な表現で、凝ったところもなく、しみじみとした余情こそ感じられないが、上の句と下の句で風景を遠景と近景に分けて立体的に表現し、すがすがしい品格を漂わせている。
霞を擬人化し、立たないでくれと訴えかけるかたちをとることで、婉曲的に遠方の山桜の美しさをたたえている。
This poet was the son of Chikanari Ooi, and died in the year 1112. Takasago is on the sea-coast in the Province of Harima, and is also mentioned in verse No. 34.
[Masafusa with his attendant appears in the illustration admiring the cherry trees on the mountains, over which, however, the clouds are already beginning to gather.]
権中納言匡房 ごんちゅうなごんまさふさ THE ASSISTANT IMPERIAL ADVISER MASAFUSA
大江匡房(10411111)。大学頭成衡(なりひら)の子、匡衡(まさひら)の曾孫。4歳のとき書を学び、8歳のときに史記など漢書(かんしょ)を読み、11歳で詩をつくったと伝えられるように才知すぐれ、16歳で文章得薬生、27歳で東宮学士に選ばれた。寛治8(1094)年に権中納言となった。兵学にも通じ、八幡太郎源義家(はちまんたろうみなもとのよしいえ)が兵法を学んだと伝えられる。
「狐媚記」「遊女記」「本朝神仙伝」「続本朝往生伝」など多くの著書がある。家集に「江師(ごうのそち)集」があり、「後拾遺集」などに勅撰歌114首はいっている。

後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)

第4番目の勅撰集。藤原通俊(みちとし)撰。白河天皇の命で1086(応徳3)年に奏覧、改訂をへて87(寛治元)年に完成。「古今集」以来の仮名序をもち、四季6巻・賀・別・き旅・哀傷・恋4巻・雑6巻の20巻。歌数1218首。雑6に神祇歌と釈教歌をはじめて収録。主要歌人は和泉式部《歌056》(67首)、相模《歌065》(40首)、赤染衛門《歌059》(32首)、能因《歌069》(31首)、伊勢大輔《歌061》(27首)など。女流の進出が目立つ。源経信により勅撰集に対するはじめての論難「難後拾遺」が書かれた。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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