2017年6月12日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #070


070
後拾遺・巻四
Go-shui(waka)-shu, vol.4
autumn
題知らず──良暹法師
untitled
寂びしさに
宿を立ち出でて
眺むれば
いづくも同じ
秋の夕暮
さびしさに
やどをたちいでて
ながむれば
いずくもおなじ
あきのゆうぐれ
Sabishisa ni
Yado wo tachi-idete
Nagamureba
Izuku mo onaji
Aki no yugure.
寂しさに耐えかねて、庵を出て、まわりを眺めてみると、どこもかしこも同じで、寂しい景色の広がる秋の夕暮れであるよ
The prospect from my cottage shows
No other hut in sight;
The solitude depresses me,
Like deepening twilight
On a chill autumn night.
夕暮れに染まる見渡す限りの秋
『後拾遺集』に「題不知(だいしらず)」として見える一首である。
寂しさに耐えかねて住まいを飛び出したけれども、そこにあったのはやはり静まり返った秋の夕暮れの風景だけだった、としみじみ秋の物悲しさを歌っている。
感じたままを素直に詠んだような、非常に平明な歌で、ともすると物足りなささえ感じるほどであるが、このような歌が選ばれていることが、定家がどれだけ秋の寂寥感を重視していたかということの証明でもあるだろう。三夕の歌と共通する結句を「秋の夕暮」で体言止めとする手法は、定家の好んだ、秋のしみじみとした趣を最大限に引き出す。
作者の良暹は京都の大原に庵を構えていたことがあるという。この歌がそのころに詠まれたものかどうかはわからないが、山里の秋に囲まれて送る隠遁生活を重ね合わせれば、人恋しさもより強く感じられる。
Nothing is known of this author, but he appears to have lived during the eleventh century.
[The Priest appears in the illustration, looking out over the bare landscape, with his tiny hut in the background.]
良暹法師 りょうぜんほうし THE PRIEST RYOZEN
生没年未詳。父が道済、母が藤原実方の女童(めわらわ)白菊で、叡山祇園(ぎおん)の別当と伝えられるが不明。山城国(京都)大原に住み、素意法師との歌の応答が「後拾遺集」にある。延暦寺の僧で、歌合に度々参加した。『袋草紙』などに多くの逸話が残る。
能因法師時代の歌人として知られた。「金葉集」「詞花集」「新古今集」などにはいっている勅撰歌は33首。

後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)

第4番目の勅撰集。藤原通俊(みちとし)撰。白河天皇の命で1086(応徳3)年に奏覧、改訂をへて87(寛治元)年に完成。「古今集」以来の仮名序をもち、四季6巻・賀・別・き旅・哀傷・恋4巻・雑6巻の20巻。歌数1218首。雑6に神祇歌と釈教歌をはじめて収録。主要歌人は和泉式部《歌056》(67首)、相模《歌065》(40首)、赤染衛門《歌059》(32首)、能因《歌069》(31首)、伊勢大輔《歌061》(27首)など。女流の進出が目立つ。源経信により勅撰集に対するはじめての論難「難後拾遺」が書かれた。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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