2016年7月31日日曜日

絶景なる世界遺産 9

The Great Scenery for the Future [The Rhine Ravine]
未来へ残す壮大な景観 [ライン渓谷]


ドイツ中央部を南北に渡って流れるライン川、その中部流域が世界遺産に登録されています。
両岸に建ち並ぶ古城とぶどう畑の景観が多くの芸術家や作曲家を魅了した絶景です。

ライン川の中部流域は「ロマンティック・ライン」と呼ばれます。
多くの古城や歴史的な建物が点在し、この辺りは白ワインの産地としても知られています。

13世紀から14世紀にかけ、ライン川を行き交う船に税金が課され、税関所として建てられた「ネズミの塔」。
中州に立てられた「ブファルツ城」は、税金を支払わない船が通過するのを監視するために建てられた砦です。
「ライヒェンシュタイン城」14世紀、川を渡る船をおそう盗賊団の根城でした。
盗賊討伐のため破壊されたものの、その後再建されました。
「ラインシュタイン城」西暦980年頃、税関として建てられ盗賊団討伐の拠点となりました。

昔、数多くの船が沈没したというライン渓谷最大の難所「ローレライの岩」
不実な恋人を嘆いて川に身を投げた美しい乙女ローレライは、行き交う船を誘惑し、沈めてしまうという伝説が残されています。

川の流れにともなって流れるDOVA-SYNDROME さん(http://dova-s.jp/)の音楽。
どちらも流れを楽しんでください。

では、この世界遺産の詳細を見ることにしましょうか。



ライン川中流域の渓谷《ドイツ》
Upper Middle Rhine Valley《Germany》

http://whc.unesco.org/sites/1066.htm

登録種別:文化遺産
登録基準:(ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に監視、人類の価値の重要な交流を示すもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例;(v) 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(または、複数の文化)或は、環境と人間との相互作用を代表する伝統的集落、または、土地利用の顕著な例
登録年:2002

ライン川中流域の渓谷は、ドイツの南部、ラインラント・ブファルツ州とヘッセン州のライン川中流の川幅が狭い渓谷のマインツからコブレンツまでの65kmにわたって展開する。ライン川中流域の渓谷は、ヨーロッパにおける地中海地域と北部地域との間の2000年の歴史をもつ重要な輸送ルートの一つである。ライン川中流域の渓谷は、人間が築いた長い歴史を物語るラインシュタイン城、ライヒェンシュタイン城、ゾーンエック城、シュタールエック城、シェーンブルク城、ラインフェルス城、グーテンフェルツ城、エーレンフェルツ城など伝説に包まれた古城群、白い壁に黒い屋根の家々が印象的なリューデスハイム、コブレンツ、ビンゲンなどの歴史都市、そして、ドイツ有数のワインを産するブドウ畑が、ドラマチックな変化に富んだ自然景観と共に絵のように展開する。ライン川中流域の渓谷には、長年にわたる歴史とローレライの岩の伝説などが息づいており、詩人のハインリッヒ・ハイネ(1797~1856)、作家、芸術家、そして作曲家などに強い影響を与えた。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月30日土曜日

絶景なる世界遺産 8

The Great Scenery for the Future [Petra]
未来へ残す壮大な景観 [ペトラ]


広大な砂漠の真ん中に突如として現れる、かつて繁栄を極めた古代都市の遺跡があります。
薔薇色の都とよばれるペトラです。
巨大な岩の奥深くに忽然と現れる神秘的な絶景です。

ヨルダン中東部、高さ100mを超える巨大な岩の間に細長い谷が続いています。
谷にできた道はおよそ1.5kmに渡って続きます。
およそ2300年前につくられた古代都市、ペトラの入り口です。

正面には「エル・ハズネ」と呼ばれる巨大な宝物庫がそびえます。
遺跡は岩の壁を彫り込んでつくられており、柱にはエジプトやギリシャなどの古代の神々が刻まれています。
失敗したからといってやり直せるはずはなく、当然失敗は許されない、作業は極度の緊張を強いられたことでしょうね。
そんなストレスにも負けず、これほどのものを造り上げてしまう、人間の能力は大したものです。

「エル・ハズネ」からさらに奥へと進むと、およそ3万人が暮らし、1000を超える住居や神殿の跡が残っています。
岩に彫り込まれた無数の穴、ここに住んでいた遊牧民族ナバテア人の墓です。
ヨーロッパとアジアをつなぐ公益で巨大な富を手にし、街を築きました。
かつての繁栄を偲ばせるローマ式の円形劇場。
他にも街を訪れる人々をもてなすための施設が数多く残されています。

DOVA-SYNDROME さん(http://dova-s.jp/)の音楽にのせて、バラ色の古代都市の絶景をお楽しみください。

この世界遺産の詳細は以下のとおりです。



ペトラ《ヨルダン》
Petra《Jordan》

http://whc.unesco.org/sites/326.htm

登録種別:文化遺産
登録基準:
(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの;(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例
登録年:1985

ペトラは、首都アンマンの南190km、標高950m、岩山に囲まれたワジ(涸れ川)の峡谷にある。ペトラは、ギリシャ語で「岩」という意味で、岩山のシックと呼ばれる亀裂に、アラブ系の遊牧民族のナバタイ人が砂岩の壁面を彫った紀元前2世紀頃の古代遺跡。最も有名なのは、ベドウィンが「ファラオの宝物庫」と呼び、世界一美しい葬祭殿とされた高さ30m、奥行き25mのバラ色のエル・カズネ・ファルウンの神殿。この他にローマ時代の1~3世紀に建造された6000人以上もの収容能力があったといわれる円形のローマ劇場跡、浴場、宴会場、墳墓群、礼拝堂、住居址、貯水池、舗装道路などが残る。1812年にスイス人の探検家ヨハン・ブルクハントによって発見された。英国の詩人ディーン・パーコンは、ペトラを「東の国の壮麗な要塞、時の刻みと同じ位古いバラ色の都市、いつしか私もこの中に一体化していく」と称賛した。また、映画「インディ・ジョーンズ 最後の聖戦」のクライマックス・シーンの舞台にもなっている。レバノンのバールベク、イランのペルセホリスと共に中東三大遺跡として称えられる。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月29日金曜日

絶景なる世界遺産 7

The Great Scenery for the Future [Machu Picchu]
未来へ残す壮大な景観 [マチュピチュ]


南米ペルー、6000m級の山々が連なるアンデス山脈の中に突如として現れる遺跡、標高およそ2300mの断崖の上に築かれた幻の都マチュピチュ。
美しい高地にそびえる神秘的な絶景です。

ペルー南東部の街クスコから列車で4時間、終点の街、アグアス・カリエンテス。
このマチュピチュの麓の街には世界中から数多くの観光客が訪れます。
アグアス・カリエンテスの街からつづら折りの道を登ります。

20世紀まで知られることのなかった幻の都マチュピチュ。
精巧に石が積み上げられていて、かつての人の技術水準の高さに驚かされます。
石造りの街並みはとても高度な技術でつくりあげられています。
15世紀、南アメリカに勢力を誇ったインカ帝国によって築かれ、最大でおよそ750人の人々が住んでいたといわれています。
街中には山の湧き水を使った水路も整備されています。
16世紀、インカ帝国はスペインに滅ぼされてしまいましたが、高地にあったマチュピチュは発見されることなく、当時のままの姿をとどめています。

天空に築かれた街の絶景に色を添えるのは、cocolo supplie ココロさぷりではすっかりおなじみ?のDOVA-SYNDROME さん (http://dova-s.jp/)の音楽です。

この世界遺産の詳細を記しておきますね。



マチュ・ピチュの歴史保護区《ペルー》
Historic Sanctuary of Machu Picchu《Peru》

http://whc.unesco.org/sites/274.htm

登録種別:複合遺産
登録基準:(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの:(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(vii) もっともすばらしい自然的現象、または、ひときわすぐれた自然美をもつ地域、及び、美的な重要性を含むもの;(ix) 陸上、淡水、沿岸、及び、海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行しつつある重要な生物学的、生理学的プロセスを示す顕著な見本であるもの
登録年:1983

マチュ・ピチュは、インカ帝国の首都であったクスコの北約114km、アンデス中央部を流れるウルバン川上流の緑鮮やかな熱帯雨林に覆われた山岳地帯、標高2280mの四方を絶壁で隔てられた自然の要害の地にあるかつてのインカ帝国の要塞都市。空中からしかマチュ・ピチュ(老いた峰)とワイナ・ピチュ(若い峰)の稜線上に展開する神殿、宮殿、集落遺跡、段々畑などの全貌を確認出来ないため、「謎の空中都市」とも言われている。総面積5平方kmの約半分は斜面、高さ5m、厚さ1.8mの城壁に囲まれ、太陽の神殿、王女の宮殿、集落遺跡、棚田、井戸、排水溝、墓跡などが残る。日時計であったとも、生贄を捧げた祭壇であったとも考えられているインティワタナなど高度なインカ文明と祭祀センターが存在したことがわかる形跡が至る所に見られ、当時は、完全な自給自足体制がとられていたものと思われる。アメリカの考古学者ハイラム・ビンガムが1911年に発見、長らく発見されなかったためスペインの征服者などからの侵略や破壊をまぬがれた。また、マチュ・ピチュは、段々畑で草を食むリャマの光景が印象的であるが、周囲の森林には、絶滅の危機にさらされているアンデス・イワドリやオセロット、それに、珍獣のメガネグマも生息している。2008年の第32回世界遺産委員会ケベック・シティ会議で、森林伐採、地滑りの危険、無秩序な都市開発と聖域への不法侵入の監視強化が要請された。2010年1月24日、マチュ・ピチュ遺跡付近で、豪雨による土砂崩れが発生、クスコに至る鉄道が寸断され、日本人観光客を含む約2000人が足止めされた。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月28日木曜日

絶景なる世界遺産 6

The Great Scenery for the Future [The Great Wall of China]
未来へ残す壮大な景観 [万里の長城]


万里の長城、秦の始皇帝の時代からおよそ2000年に渡り築かれました。
中国の歴史とともにつくりあげられた絶景がそこにあります。

首都北京から北西およそ70kmにある万里の長城の中で最も有名な八達嶺、高さ8m、幅6mの城壁が築かれています。

中国東部、渤海(ぼっかい)に突き出た長城の東端、老龍頭(ろうりゅうとう)。
16世紀、明王朝の時代に築かれました。
老龍頭とは長城を龍にたとえ、その頭に当たる場所という意味です。

山海関、万里の長城の東端から最初の関所です。

長城の中でも最も険しい場所に築かれた司馬台、標高およそ1000m、断崖絶壁の上につくられています。

長城に沿って西に進むと砂漠へと景色が変わります。
老龍頭からおよそ3500km、嘉峪関(かよくかん)、万里の長城の一番西の関所です。
その嘉峪関からおよそ7km、万里の長城の西の果てです。

歴史を語る最大の建造物のBGMはDOVA-SYNDROME さん (http://dova-s.jp/)の音楽です。

では、この世界遺産の詳細を見ることにしましょうか。



万里の長城《中国》
The Great Wall《China》

http://whc.unesco.org/en/list/438

登録種別:文化遺産
登録基準:(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの;(ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に監視、人類の価値の重要な交流を示すもの;(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例;(vi) 顕著な普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰、または、芸術的、文学的作品と、直接に、または明白に関連するもの
登録年:1987

万里(ワンリー)の長城(チャンチョン)は、紀元前7世紀に楚の国が「方城」を築造することから始まって、明代(1368~1644)に至るまで、外敵や異民族の侵入を防御する為に、2000年以上にわたって築き続けた城壁。北方の遊牧民族の侵入を防ぐ為の防衛線としたのが秦の始皇帝(紀元前259~210年)。東は、渤海湾に臨む山海関から、西は、嘉峪関までの総延長は約8851.8km(約1万7700華里)。城壁の要所には、居庸関、黄崖関などの関所、見張り台やのろし代が置かれている。万里の長城は、現在の行政区分では、河北省、北京市、山西省、陝西省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、甘粛省など17の省、自治区にまたがる。なかでも、北京市郊外の八達嶺や慕田峪からの眺望は、山の起伏に沿って上下し延々と続き雄大そのもの。このほか、金山嶺、司馬台、古北口などからの景色もすばらしい。世界的に有名な万里の長城は、その有給の歴史とスケールの大きさから中国文明の象徴そのものともいえる。月から肉眼で見える地球で唯一最大の建造物とされる。万里の長城は通称で、一般的には「長城」と呼ばれている。万里の長城の総延長は、これまで、約6350km(1万2700華里)とされてきたが、中国国家文物局と中国国家測量局が共同で、2006年から2年がかりでGPS(全地球測位システム)など最新の技術を駆使して測量した結果、約2500km長い8851.8kmであることが判明し総延長距離を確定した。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月27日水曜日

絶景なる世界遺産 5

The Great Scenery for the Future [Guanacaste]
未来へ残す壮大な景観 [グアナカステ]


南米コスタリカには火山地形からマングローブ林まで、多様な環境に恵まれるグアナカステの森があります。
ここには自然と生命がおりなす絶景があります。

コスタリカの北西部、およそ1500平方kmに渡って広がるグアナカステ保全地域。
この森は地形の関係で、山を挟み、熱帯湿潤林と熱帯乾燥林に分かれています。

グアナカステには、およそ20万種以上もの動植物が生息しています。
体長30cmほどのネズミの仲間、アグーチは中央アメリカから南に生息しています。
サンショクキムネオオハシもグアナカステに生息する鳥の一種。
ハナジロハナグマ、木登りが得意なアライグマの仲間。
多様な生態系を育む豊かな森です。

多様な環境が緑や数多くの生き物を育む、命あふれる絶景をDOVA-SYNDROME さん (http://dova-s.jp/)の音楽とともにお楽しみください。

この世界遺産の詳細は以下のとおりです。



グアナカステ保全地域《コスタリカ》
Area de Conservacion Guanacaste《Costa Rica》

http://whc.unesco.org/sites/928.htm

登録種別:自然遺産
登録基準:(ix) 陸上、淡水、沿岸、及び、海洋生態系と動植物群集の進化と発達において、進行しつつある重要な生物学的、生理学的プロセスを示す顕著な見本であるもの;(x) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの〔科学上、または、保全上の観点から、すぐれて普遍的価値をもつ絶滅の恐れのある主が存在するものを含む〕
登録年:1999・2004

グアナカステ保全地域は、コスタリカの北西部、グアナカステ州とアラジュエラ州にまたがっている。グアナカステ保全地域は、火山地帯も含む陸域の104,000ha、海域の43,000haからなる。グアナカステ保全地域には、植物群落、絶滅寸前の種や珍種の宝庫。多様な生物相を保護するこの重要な原生地では、内陸性、海洋性の両方の自然環境での生態系の変化を見ることができる。その変化には、太平洋熱帯乾燥林の進化、推移などの過程や、また、ウミガメの産卵、サンゴの群落の移動などが見られる。2004年に陸域のサンタ・エレナ保護区(15,800ha)が登録範囲に含められた。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月26日火曜日

絶景なる世界遺産 4

The Great Scenery for the Future [Edifices by A. Gaudiy]
未来へ残す壮大な景観 [A. ガウディの建築物]


スペインが誇る天才建築家アントニ・ガウディが手がけた建築群が建ち並ぶ絶景があります。

バルセロナのシンボル、サグラダ・ファミリア贖罪(しょくざい)聖堂。
19世紀から20世紀にかけ、彼が手がけた建築は、そのうちのサグラダ・ファミリア教会を含めた7つが世界遺産に登録されています。
(グエル公園、グエル邸、カサ・ミラ、ヴィンセンス邸、パトリョ邸、コロニア・グエル教会の地下聖堂)

ガウディの建築は、曲線と細部の装飾を多用した生物的なものを得意とし、その独創的なデザインは多くの建築家や芸術家に影響を与えました。

「カサ・バトリョ」1906年にガウディが手がけた住宅、別名「骨の家」と呼ばれています。

バルセロナの街並みを一望できる高台にある「グエル公園」は、分譲住宅としてつくられたものの、買い手がつかず、その後公園として開放されました。
バルセロナ市民の憩いの場所して人気を集めています。

DOVA-SYNDROME さん (http://dova-s.jp/)の音楽にのせてお贈りする鬼才の芸術の数々。
類稀な感性にただただ脱帽です。

この世界遺産の詳細を記しておきますね。



アントニ・ガウディの作品群《スペイン》
Works of Antoni Gaudi《Spain》
(バルセロナのグエル公園、グエル邸、カサ・ミラ《スペイン》
Parque Guell, Palacio Guell and Casa Mila in Barcelona《Spain》
※1984年登録時の名称)

http://whc.unesco.org/sites/320.htm

登録種別:文化遺産
登録基準:(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの;(ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に監視、人類の価値の重要な交流を示すもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例
登録年:1984・2005

アントニ・ガウディの作品群は、スペインの東部、カタルーニャ自治州のバルセロナとサンタ・コロマ・デ・セルヴェロに分布し、スペインの孤高の建築家でカタルーニャ・モデルニスモの旗手アントニ・ガウディ(1852~1926年)の作品、グエル公園(1904~1916年)、グエル邸(1886~1890年)、ミラ邸(1906~1910年)などからなる。グエル公園は、もともと未来指向の住宅地として計画されたが、後に公園に転用された。デザインとレイアウトは、カラフルで美しい波うつようなセラミック・ベンチの広場や、「百本柱」の空間などガウディ独特の奇抜な彫刻などで飾られた夢とおとぎの不思議な世界。グエル邸は、建築材料として、鉄材とセラミックを多用した豪華な住宅。ミラ邸は、別名「ラ・ペドレラ(石切り場)」とも呼ばれ、大胆な曲線を多用した風変りなアブストラクト彫刻の集合住宅。鬼才ガウディによるこれらの作品群は、建築素材の持ち味を活かした独創的なデザインで芸術的。2005年、サグラダ・ファミリアのイエス降誕のファサードと地下聖堂(1884~1926年)、ヴィンセンス邸(1883~1885年)、パトリョ邸(1904~1906年)、サンタ・コロマ・デ・セルヴェロにあるコロニア・グエル教会の地下聖堂(1898~1905年)の4つの建造物群が新たに登録範囲に加えられ、登録遺産名も変更された。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月25日月曜日

絶景なる世界遺産 3

The Great Scenery for the Future [Himalaya Range]
未来へ残す壮大な景観 [ヒマラヤ山脈]


インドやパキスタンなど、6カ国に渡って連なる巨大な山々、ヒマラヤ山脈。
世界最高峰のエベレストを中心に、雄大な山々と、氷河がつくる絶景が広がっています。

エベレストを含むネパール北東部の山岳地帯、サガルマータ国立公園は世界自然遺産に登録されています。
ネパールの言葉で「サガルマータ」とはエベレストのことを指し、「世界の頂上」という意味があります。

エベレスト街道、エベレストの姿を間近に望める場所、カラパタールへと続く道です。
カラパタールまではおよそ60kmの道のり、2週間程かけて歩きます。

ヒマラヤ山脈の山中に生息するのは、カモシカの仲間、ヒマラヤタールや、高山に咲くエーデルワイスの仲間。

プモリと呼ばれる山の麓、標高5600m、カラパタール。
世界最高峰エベレストを目の前にヒマラヤの絶景が広がります。

DOVA-SYNDROME さん(http://dova-s.jp/)の音楽とともに、世界の屋根の絶景を堪能してください。

では、この世界遺産の詳細を見ることにしましょうか。



サガルマータ国立公園《ネパール》
Sagarmatha National Park《Nepal》

http://whc.unesco.org/sites/120.htm

登録種別:自然遺産
登録基準:(vii) もっともすばらしい自然的現象、または、ひときわすぐれた自然美をもつ地域、及び、美的な重要性を含むもの
登録年:1979

サガルマータ国立公園は、ネパールの東部、首都カトマンズの北東165km、中国と国境を接する総面積1244平方kmの山岳地帯、サガルマータ県ソルクンプ郡にある。世界最高峰のエベレスト(ネパール語ではサガルマータ、シェルパ族の間ではチョモランマ)をはじめローツェ、マカルー、チュオユの4座を中心に7000~8000m級のヒマラヤ山脈の山岳地帯を含む世界の屋根である。サガルマータ国立公園は、1976年に国立公園に指定された。世界遺産の登録面積は114,800haである。公園内には高山植物やヒマラヤ・ジャコウジカ、ヒマラヤグマ、ヒマラヤタール、ユキヒョウ、レッサーパンダなどの大型動物やイワヒバリなどの珍しい鳥やテンジクウスバシロチョウなどの蝶も数多く生息する貴重な動植物の宝庫。観光客が残すゴミなどの環境対策、外来種の侵入、森林の伐採、気候変動による氷河の後退などの脅威や危険に対応した保全管理が課題になっている。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月24日日曜日

絶景なる世界遺産 2

The Great Scenery for the Future [Cappadocia]
未来へ残す壮大な景観 [カッパドキア]


標高1000mを超えるアナトリア高原中央部(トルコ)、ここに奇妙な形の岩が広がる不思議な絶景があります。
イスタンブールから東に700km、15の町や村が集まるカッパドキアです。

奇岩は固い溶岩の乗った凝灰岩(ぎょうかいがん)が柱のように侵食されて出来上がったものです。
「妖精の煙突」と呼ばれる奇岩、鳥の形をしている奇岩、「薔薇の谷」と呼ばれる奇岩地帯、これらの奇岩群の中に無数の穴が開いたものがあります。
人が住んでいた跡です。
紀元前およそ4000年頃から、凝灰岩をくり抜き、住居としていました。
現在でもたくさんの人が住んでいます。
カッパドキアには住居だけでなく、キリスト教の洞窟聖堂や修道院もあります。
その数はおよそ400以上あるといわれています。

自然がつくり出した驚きの絶景が広がるカッパドキア、DOVA-SYNDROME さん(http://dova-s.jp/)の音楽が旅情をかきたてるくれることでしょう。


この世界遺産の詳細を見てみましょう。



ギョレメ国立公園とカッパドキアの岩窟群《トルコ》
Goreme National Park and the Rock Sites of Cappadocia《Turkey》

http://whc.unesco.org/sites/357.htm

登録種別:複合遺産
登録基準:(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの;(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(v) 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(または、複数の文化)或は、環境と人間との相互作用を代表する伝統的集落、または、土地利用の顕著な例;(vii) もっともすばらしい自然的現象、または、ひときわすぐれた自然美をもつ地域、及び、美的な重要性を含むもの
登録年:1985

ギョレメ国立公園は、トルコの中部、ネヴシェヒール地方にあるアナトリア高原にある。カッパドキアの岩窟群は、エルジェス山やハサン・ダウ山の噴火によって、業界席が風化と侵食を繰り返して出来上がったもので、キノコ状、或は、タケノコ状の奇岩怪石が林立する。この他に、4世紀前後にローマ帝国の迫害から逃れたキリスト教徒が、横穴式に掘り抜いて約360の岩窟修道院や教会などをつくった。なかでも、ギョレメ峡谷一帯のギョレメ国立公園は、周辺の自然を損なうことなく人間の手の入った世界でも珍しい地域で、どの岩窟教会、トカル・キリッセ、エルマル・キリッセ、バルバラ・キリッセなどの聖堂が集まっており、内部には彩色鮮やかなビザンチン様式のフレスコ画が残っている。また、カッパドキアには、オオカミ、アカギツネなどの動物、100種を超える植物など、貴重な動植物が生息している。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月22日金曜日

絶景なる世界遺産 1

The Great Scenery for the Future [Cape of Good Hope]
未来へ残す壮大な景観 [喜望峰]

南アフリカ西ケープ州、ケープ半島の突端に喜望峰があります。
荒々しい海がつくり出すロマンあふれる雄大な絶景です。

喜望峰のあるケープタウン、アフリカ大陸南西端喜望峰は大航海時代の幕開けを告げた場所の一つです。
1488年、ポルトガルの航海家バルトロメウ・ディアスが「嵐の岬」と命名しました。
ポルトガルの王ジョアン2世(完全王)は彼の偉業をたたえ、「喜望峰 Cape of Good Hope (Cabo da Boa Esperança)」と名前を改めました。
(アフリカーンス語ではKaap de Goede Hoop。)
その後ヴァスコ・ダ・ガマがこの岬を経由してインドへとぬける航路を発見しました。
かつて船乗りたちに恐れられていたインド洋と大西洋がぶつかる流れの激しい海です。
世界一周をしたフランシス・ドレークが「もっとも美しい岬」と讃えたといわれる喜望峰。

しかし海に生きる動物たちにとっては海流が豊富なえさを運ぶ楽園となっています。
カツオドリは夏になると集団をつくり、繁殖と子育てをここの海岸で行います。

美しい景観に恵まれているばかりか、多数の貴重な生態系をもち、それらの動植物を保護する保護区も含め、多くの観光客が訪れる地として知られています。

音楽はDOVA-SYNDROME さん (http://dova-s.jp/)。
もうかなりの数の動画で使わせていただいてますね。

この世界遺産の詳細は以下のとおりです。
喜望峰だけではなく、周辺一帯の登録となっています。



ケープ・フローラル地方の保護地域《南アフリカ》
Cape Floral Region Protected Areas《South Africa》

http://whc.unesco.org/en/list/1007

登録種別:自然遺産
登録基準:(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例;(x) 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの〔科学上、または、保全上の観点から、すぐれて普遍的価値をもつ絶滅の恐れのある主が存在するものを含む〕
登録年:2004

ケープ・フローラル地方の保護地域は、南アフリカの南西、ケープ州のケープ半島国立公園、シーダーバーグ原生地域など8か所の保護地区からなり、総面積は5530平方kmにも及ぶ。ケープ・フローラル地方の保護地域には、アフリカの植物相の20%が見られ、世界で最も植物が豊富な地域にも数えられ、フィンボスと言われる特有のブッシュ植生が発達している。ケープにおける植物の数や多様さ、更に、固有種は、世界でも有数で、地球上に18か所ある生物多様性のホットスポットの一つに数えられている。ケープ植物区系とは、植物地理学的に地球をヨーロッパ、オーストラリア、アメリカ合衆国、カリフォルニア、ケープ地域、南西オーストラリアの6つに区切った植物区系の一つで、ケープ地域のみで単独の植物区系と見なされるほど植生は際立っている。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

2016年7月21日木曜日

黄昏の世界遺産 12

ヴェネツィアの夕陽 Sunset on Venice


1000年に渡る輝かしい繁栄を遂げた「地中海の女王」とたたえられる街、ヴェネツィア。
15世紀に貿易の中継地として繁栄の絶頂期を迎えました。
その頃、多くの芸術家が集まり、絵画の分野ではヴェネツィア派が興り、17世紀にはオペラなどバロック音楽の中心地となりました。
現在では、宝石、工芸品の製造、繊維工業が盛んで、ヴェネツィア・ガラスと呼ばれるガラス工芸も有名ですね。

街を貫く大運河「カナル・グランデ」の両側には繁栄を支えた「ベニスの商人」たちの館が並んでいます。
ヴェネツィアで最も有名な場所、サン・マルコ広場は、かのナポレオンが「世界一美しい広場」とたたえたといわれています。

水上に浮かぶ美しい街の夕景をDOVA-SYNDROME さん(http://dova-s.jp/)の音楽に乗せてお送りします。

では、この世界遺産の詳細を見ることにしましょうか。



ヴェネツィアとその潟《イタリア》
Venice and its Lagoon《Italy》

http://whc.unesco.org/en/list/394

登録種別:文化遺産
登録基準:(i) 人類の創造的天才の傑作を表現するもの;(ii) ある期間を通じて、または、ある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、町並み計画、景観デザインの発展に監視、人類の価値の重要な交流を示すもの;(iii) 現存する、または、消滅した文化的伝統、または、文明の、唯一の、または、少なくとも稀な証拠となるもの;(iv) 人類の歴史上重要な時代を例証する、ある形式の建造物、建築物群、技術の集積、または、景観の顕著な例;(v) 特に、回復困難な変化の影響下で損傷されやすい状態にある場合における、ある文化(または、複数の文化)或は、環境と人間との相互作用を代表する伝統的集落、または、土地利用の顕著な例;(vi) 顕著な普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰、または、芸術的、文学的作品と、直接に、または明白に関連するもの
登録年:1987

ヴェネツィアは、イタリア北東部のヴェネト州にある。ヴェネツィアは、アドリア海の118の州の上に造られた水の都で、176の運河と400余の橋で島を結んでいる。9世紀には聖マルコの遺体がエジプトから移されると発展しはじめ、15~16世紀には、胡椒などの香辛料、絹、銀などの貿易で強国を築き、東西文明の結接点となった。大運河(カナレ・グランデ)の入口にあるサン・マルコ広場には、高さが100m近い鐘楼、ビザンチン、ゴシック、ルネッサンスなどの様式が混在した大理石のサン・マルコ大聖堂、それに、ドゥカーレ宮殿が、また、潟の岬の部分には、バロック様式の傑作といわれるサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会がある。ヴェネツィアでは、海面上昇や地盤沈下等が原因で、満潮時に冠水することが多くなっており、問題が深刻化しつつある。
     ──『世界遺産事典 1007全物件プロフィール 2015改訂版』(シンクタンクせとうち総合研究機構)

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