2017年2月11日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #017



017
古今・巻五
Kokin(waka)-shu, vol.5
autumn
二条の后の春宮(とうぐう)の御息所(みやすどころ)と申しける時御屏風に龍田川に紅葉流れるかた(絵)を描きけるを題にて詠める──なりひらの朝臣
looking at a picture of floating red leaves on Tatsuta river on a folding screen when the Empress was still one of Emperor’s wifes who bares heir Prince
千早ぶる
神代もきかず
龍田川
からくれなゐに
水くくるとは
ちはやぶる
かみよもきかず
たつたがわ
からくれないに
みずくくるとは
Chi haya buru
Kami yo mo kikazu
Tatsuta gawa
Kara kurenai ni
Mizu kukuru to wa.
不思議なことが多かった神代でも聞いたことがない。龍田川が水を美しい紅色にくくり染めにするなんて
All red with leaves Tatsuta’s stream
So softly purls along,
The everlasting Gods themselves,
Who judge ‘twixt right and wrong,
Ne’er heard so sweet a song.
紅葉の錦を染め物にたとえる
『古今集』詞書(ことばがき)には「二条のきさきの春宮(とうぐう)の御息所(みやすどころ)と申しける時御屏風に龍田川に紅葉流れるかたを描きけるを題にて詠める」とある。この歌は業平が清和(せいわ)天皇の女御(にょうご)、二条の后の邸に参った折に、屏風に描かれた大和絵を題にして詠んだ屏風歌(びょうぶうた)である。
屏風歌は9世紀末から盛んに用いられた和歌の一首。実際の風景を詠みこむのではないため、想像力を働かせる必要があるが、それゆえに「ちはやぶる神代も聞かず」という少々大げさな文句が聞く者の興味をかき立てる仕上がりとなっている。
「水くくる」は定家の解釈では「潜る」説で「水面に落ちた紅葉の下を水が潜る」としていたようだが、現在はくくり染め(しぼり染め)の意とするのが主流となっている。
「川が紅葉で唐紅色に染め上げられている」と川を染め物にたとえた風雅な一首である。
The writer, who lived A.D. 825-880, as the grandson of the Emperor Saga, and was the Don Juan of Old Japan; he was banished because of an intrigue he had with the Empress, and his adventures are fully related in the Ise-Monogatari. The Tatsuta stream is not far from Nara, and is famous for its maples in autumn. Chi haya furu, literally ‘thousand quick brandishing (swords)’, is a ‘pillow-word’, or recognized epithet, for the Gods, and almost corresponds to Virgil’s Pious Aeneas, and Homer’s ‘Odysseus, the son of Zeus, Odysseus of many devices’. It may be noted that these ‘pillow-words’ only occur in the five-syllable lines, never in the longer lines.
[In the picture we see the poet looking at a screen, on which is depicted the river with the red maple leaves floating on it.]
在原業平朝臣 ありわらのなりひらあそん THE MINISTER NARIHIRA ARIWARA
825880。阿保(あぼ)親王の第5皇子。行平(ゆきひら)《歌016》の異母弟。56歳で没。美男で「伊勢物語」の主人公格。天才的歌人で六歌仙、36歌仙の一人。勅撰集には「古今集」に30首、「後撰集」などに57首はいっている。家集「業平朝臣集」がある。

古今和歌集(こきんわかしゅう)
平安中期、日本最初の勅撰和歌集
略称『古今集』。20巻。歌数約1100首。醍醐(だいご)天皇の勅により編集を始め、905(延喜5)年撰進された。撰者は紀貫之《歌035》、凡河内躬恒《歌029》、紀友則《歌033》、壬生忠岑《歌030》ら。『万葉集』に入らなかった古歌とそれ以後の新しい歌を集大成したもので、巻頭に貫之の「仮名序」、巻尾に紀淑望(よしもち)の「真名序」を置く。歌風は七五調・体言止めが多く、優美典雅、理知的で機知を尊ぶ。のちの勅撰和歌集の理想となった。代表歌人としては撰者らのほかに六歌仙がいる。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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