2017年7月6日木曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #081

※動画は後日投稿します。

081
千載・巻三
Senzai(waka)-shu, vol.3
summer
曉ニ聞ク二郭公一といへる心をよみ侍ける──右大臣
waiting for the first voice of cuckoo at dawn.
郭公
鳴きつる方を
ながむれば
ただ有明の
月ぞ残れる
ほととぎす
なきつるかたを
ながむれば
ただありあけの
つきぞのこれる
Hototogisu
Nakitsuru kata wo
Nagamureba
Tada ariake no
Tsuki zo nokoreru.
ほととぎすが鳴いたと思って、そちらを眺めると、そこにはなにもなく、ただ有明の月だけが空に残っている
The cuckoo’s echo dies away,
And lo! the branch is bare;
I only see the morning moon,
Whose light is fading there
Before the daylight’s glare.
見えない姿に余韻を感じる
ほととぎすは古くから何度となく和歌に詠まれている題材である。夏を告げる鳥として、その最初の一声(初音)を聞くために、夜明けまで耳を澄まして待つほど、平安の人々に愛された鳥であった。
この歌は、その初音を聴いたと思った瞬間、ほととぎすの姿をとらえようと顔を上げたのだが、すでにその姿はなく、見えるのは有明の月だけであったというものである。一瞬の視点の動きと、後に残った静寂がしみじみとした余韻を残している。
有明の月もほととぎすとともに、よく詠まれる題材で、古くから歌語を使いつつも、視覚と聴覚の両方で一瞬の喜びを表現したところに清新さが感じられる。
作者は祖父の徳大寺左大臣実能(さねよし)と区別するために後徳大寺と呼ばれた。和歌、文学、管絃などに優れる多才な人物だったが、晩年はもっぱら政事の分野で手腕をふるったようだ。
The writer’s name was Sanesada Fujiwara, and he entered the priesthood in the year 1198. The cuckoo, according to Japanese tradition, cries through the night until its eyes become bloodshot. It is supposed to come from the Spirit-land across the mountains of Hades, about the end of the fifth month, to warn the farmer that it is time to sow his rice.
[In the illustration we see the morning moon setting behind the hills, and the cuckoo flying away.
後徳大寺左大臣 ごとくだいじのさだいじん THE MINISTER-OF-THE-LEFT OF THE TOKUDAI TEMPLE
藤原実定(ふじわらのさねさだ・11391191)。大炊御門(おおいのみかど)右大臣公能(きんよし)の子で母は権中納言俊忠(ごんのちゅうなごこんとしただ)の娘。定家《歌097》とは従兄弟。内大臣、右大臣を経て左大臣となり、53歳で出家した。
詩歌管絃にすぐれた。中古36歌仙の一人で、日記「庭槐集」、家集「林下集」がる。「千載集」などに73首はいっている。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)
鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年7月5日水曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #080

※動画は後日投稿します。

080
千載・巻十三
Senzai(waka)-shu, vol.13
love
百首歌奉りける時恋の心を詠める──侍賢門院堀河
sensing love feeling when present 100 verses.
長からむ
心も知らず
黒髪の
みだれて今朝は
ものをこそ思へ
ながからむ
こころもしらず
くろかみの
みだれてけさは
ものをこそおもえ
Nagakaramu
Kokoro mo shirazu
Kuro kami no
Midarete kesa wa
Mono wo koso omoe.
末永く愛してくださるというあなたのお心も確かなものかわからず、お別れした今朝は、黒髪が寝乱れているように、私の心も乱れて、もの思いに沈んでいます
My doubt about his constancy
Is difficult to hear;
Tangled this morning are my thoughts,
As is my long black hair.
I wonder---Does he care?
乱れた髪とともに心はかき乱されたまま
《歌079》と同様に崇徳院《歌077》の『久安百首』の一首。男性からの後朝(きぬぎぬ)の歌への返歌である。
共寝をして別れた朝の乱れた黒髪に、自分の心の乱れを重ねて、恋の行く末を案じる、官能的で実感のこもる歌になっている。ともに過ごした後の幸福感よりも、不安の方が勝ってしまうのはこの時代の男女関係をよく表しているといえるだろう。
Lady Horikawa was the daughter of the First Adviser of State, Sane-kyo, who lived about the year 1142. In this verse she is anxiously pondering, how long her lover will continue to be true to her; and she discovers, that her ideas on the subject are as tangled and disordered as her hair is.
侍賢門院堀河 たいけんもんいんほりかわ LADY HORIKAWA, IN ATTENDANCE ON THE DOWAGER EMPRESS TAIKEN
生没年未詳。神祇伯源顕仲(じんぎのはくみなもとのあきなか)の娘で、はじめは前斉院令子内親王(さきのさいいんれいしないしんのう)に仕え、前斎院六条といい、のち鳥羽(とば)天皇の皇后待賢門院璋子に仕え、康治2(1143)年に侍賢門院出家にしたがって尼となった。堀河と呼ばれたのは、祖父の兄が堀川左大臣といわれていたからとされる。
西行と親交があり、中古36歌仙の一人で「侍賢門院堀河集」がある。「金葉集」などに65首はいっている。

千載和歌集(せんざいわかしゅう)
鎌倉前期、第7番目の勅撰和歌集。八代集のひとつ
1187年完成。20巻。歌数約1200首。後白河法皇の命で藤原俊成《歌083》が撰した。『金葉和歌集』『詞花和歌集』両集の新奇の風を否定し、古今的伝統への復帰を志し、清新な感覚に支えられた感傷的情緒性が目だつ。
  ──『日本史事典』


動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年7月4日火曜日

新規動画の投稿を休止します pausing new video upload

いつも動画ならびにブログをご覧いただきありがとうございます。


投稿開始から早1年半が過ぎ、動画も「cocolo supplie ココロさぷり」「wa-gocolo supplie 和ゴコロさぷり」2チャンネル併せて300以上、再生回数もおかげさまで順調にのびています。
これも皆さんが応援してくださるからこそ。
本当にありがとうございます。


現在「wa-gocolo supplie 和ゴコロさぷり」では『百人一首 100 verses by 100 poets』シリーズをお届けしていますが、約4/5にあたる79首(競技かるたの開始の1首を含めると80)の投稿が完了しています。
シリーズの途中ですが、やむなくしばらくの間、動画の投稿を休止させていただきます。
cocolo supplie ココロさぷり」では現在、特にシリーズを展開してはいませんが、こちらも休止させていただきます。
楽しみにしてくださっている皆さんには、本当に申し訳ないと想っています。
PCの不調のため、用意していた画像や音声などの素材ファイルにアクセスできず、また、動画編集ソフトも起動できないというのが理由です。


『百人一首 100 verses by 100 poets』シリーズのブログ記事に限っては別の場所にあるので、動画なしで記事を更新していきます。
後日動画を貼り付けます。


PCの復旧がいつになるか、今のところ全然メドがたたないのですが、なんとか早く皆さんに新作動画をご覧いただけるようにしたいと思っています。
ですが、今までのように毎週金曜日といった定期的な投稿ではなく、不定期の投稿とさせていただきます。
勝手をいってすみません。
新規動画投稿再開までは公開中の動画をお楽しみください。
毎日1本見たとしても10ヶ月程度はかかりますから(笑)。
Thank you very much for watching videos and reading blog posts.


It’s been a year and half, we have over 300 videos at both cocolo supplie ココロさぷり」「wa-gocolo supplie 和ゴコロさぷり」.
The played times is getting bigger and bigger.
You all supported us so much.
We do deeply appreciate that.


Now, we have series of “百人一首 100 verses by 100 poets” atwa-gocolo supplie 和ゴコロさぷり」, almost 80%, 79 verses are done.
(counted 80, included the extra one)
We are very sorry to pause posting of new videos for a while.
cocolo supplie ココロさぷり」as well, no particular series going on at the channel though.
We do regret this because you look forward to them.
This is why; no access to material files such as images/sound, no running the software for movie edit, due to having PC troubles.


The articles on “百人一首 100 verses by 100 poets” series, they will be posted without the link to the video.
Later add the video link.


We are not certain when the PC will be fully recovered.
We would like you to watch new videos as soon as possible.
Still, posting would be irregularly, not like before.
So, enjoy the videos on YouTube server now.
It takes almost 10 months even if you watch one a day.

2017年7月3日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #079


079
新古今・巻四
Shin-kokin(waka)-shu, vol.4
autumn
崇徳院に百首歌たてまつりけるに──左京大夫顕輔
presenting 100 verses to the Retired Emperor Sutoku.
秋風に
たなびく雲の
絶間より
もれ出づる月の
影のさやけさ
あきかぜに
たなびくくもの
たえまより
もれいずるつきの
かげのさやけさ
Aki kaze ni
Tanabiku kumo no
Taema yori
More-izuru tsuki no
Kage no sayakesa.
秋風にたなびく雲の途切れた間から、もれ出る月の光の、なんと澄み切って明るいことよ
See, how the wind of autumn drives
The clouds to left and right,
While in between the moon peeps out,
Dispersing with her light
The darkness of the night.
秋の夜を明るく照らす月の光
『新古今集』の詞書(ことばがき)には「崇徳院に百首歌たてまつりけるに」とあり、崇徳院《歌077》に献上したなかの一首のようだ。
非常に素直に秋の風景を歌った写実的な作品で、難解な表現がないところが、澄み切った月の光をいっそう際立たせている。
月そのものよりも、雲間から差し込む光に着目した点が、瞬間をとらえて味わい深い。
Akisuke died about the year 1155. More-izuru literally means, that the light of the moon ‘leaks out’; the verse is a charming example of a Japanese picture-poem. Probably the first word of the verse was purposely made to coincide with the poet’s first name in sound, although the two words are written with different characters in the original.
左京大夫顕輔 さきょうのだいぶあきすけ THE SHINTO OFFICIAL AKISUKE, OF THE LEFT SIDE OF THE CAPITAL
藤原顕輔(10901155)。顕季(あきすえ)の三男で、従三位、左京大夫、皇大后宮亮(ぐうのすけ)に任ぜられたが、のち、世をいとい出家した。清輔(きよすけ)《歌085》の父。源俊頼(みなもとのとしより)《歌074》と親交があった。
父顕季から歌道・歌学の六条家の祖とされる家説を継ぎ、仁平(にんぺい)元(1151)年に崇徳院の院宣をうけ「詞花集」を撰した。家集「顕輔集」があり、「金葉集」などに84首はいっている。

新古今和歌集(しんこきんわかしゅう)

鎌倉初期、八代集最後の勅撰和歌集
略称『新古今集』。1205年完成。20巻。歌数約1980首。後鳥羽上皇《歌099》の命で藤原定家《歌097》、藤原家隆《歌098》、寂蓮《歌087》らが撰び、上皇の親撰。幽玄・妖艶・象徴的ないわゆる新古今調をつくり、万葉・古今とともに三大歌風をなす。本歌取り、体言止め、三句切れなどが特色。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年7月2日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #078


078
金葉・巻四
Kin-yo(waka)-shu, vol.4
winter
関路千鳥と云へることをよめる──源兼昌
hearing plovers on the way to Suma.
淡路島
通ふ千鳥の
鳴く声に
幾夜寝覚めぬ
須磨の関守
あわじしま
かようちどりの
なくこえに
いくよねざめぬ
すまのせきもり
Awaji shima
Kayou chidori no
Naku koe ni
Iku yo nezamenu
Suma no seki-mori.
淡路島から通う千鳥がもの悲しく鳴く声に、幾夜目を覚ましたことだろうか、この須磨の関の番人は
Between Awaji and the shore
The birds scream in their flight;
Full oft they’ve made the Suma Guard
Toss through a sleepless night,
Until the morning light.
旅の孤独を歌枕にのせて詠む
作者は冬に須磨の関辺りを旅して宿をとり、そこでもの悲しく鳴く千鳥の声を聞いたのだという。須磨の関は、この歌のころにはもう廃止されていたが、『源氏物語』須磨の巻を思い起こさせる、寂しげなイメージがある地として定着した歌枕になっていた。その地でもの悲しげな鳴き声を聞くという、いかにも余情をさそう状況に、孤独なわが身と遠い昔の関守を重ね合わせている。
The writer was the son of Kanesuke, and died about the year 1112. Chidori are snipe or plovers, but here are apparently meant for seagulls. Awaji is a large island in the Inland Sea, near Kobe, and Suma is a point on the mainland in the Province of Settsu, immediately opposite.
源兼昌 みなもとのかねまさ KANEMASA MINAMOTO
生没年未詳。美濃守俊輔(としすけ)の次男で、従五位下・皇后宮少進から大進にすすみ、のち出家した。
永久4(1116)年の「堀河院次郎百首」や大治3(1128)の「住吉歌合」(兼昌入道)の作者である。勅撰歌は「金葉集」などに7首はいっている。

金葉和歌集(きんようわかしゅう)

第5番目の勅撰集。源俊頼(としより)《歌074》撰。白河法皇の下命。1124(天治元)年の初度本、翌年の二度本とも返却され、三奏本は26年かその翌年に草稿として奏覧され、そのまま受納されたという。書名は優れた和歌の集の意。四季・賀・別離・・恋上下・雑上下の10巻。代表歌人は源経信・源俊頼・藤原公実(きんざね)・藤原顕季(あきすえ)ら。「古今集」以来の伝統から脱した新鮮な歌風を特色とする。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年7月1日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #077


077
詞花・巻七
Shika(waka)-shu, vol.7
love
題知らず──新院御製
untitled
瀬を早み
岩にせかるる
滝川の
われても末に
逢はむとぞ思ふ
せをはやみ
いわにせかるる
たきがわの
われてもすえに
あわんとぞおもう
Se o hayami
Iwa ni sekaruru
Taki-gawa no
Warete mo sue ni
Awamu to zo omou.
川瀬の流れが速いので、岩にせきとめられる急流が二手に分かれても、いずれひとつになるように、今は引き離されても、行く末は再び逢おうと思う
The rock divides the stream in two,
And both with might and main
Go tumbling down the waterfall;
But well I know the twain
Will soon unite again.
運命を変えようとする強い意志
流れ落ちる滝のように激しい情熱を含んだ恋歌である。自らの運命を急流にたとえ、分断された仲だけれども、いつかはまた必ず一緒になろうと訴えている。
恋歌ではあるが、崇徳院の生涯を重ね合わせれば、それ以上の深みをもつ歌として考えることもできる。父の鳥羽院からは実子ではない(白河院の子?)ため「叔父子」と呼ばれかわいがられず、譲位を余儀なくされ、保元の乱を起こすも破れて讃岐に流される。そしてそのまま都に戻ることはなかった崇徳院の「必ずや逢おう」という執念は都へ、そして天皇という位へ向けられたものにも思える。
また、定家にとっても和歌の興隆を支えた崇徳院の存在は大きかった。父俊成(しゅんぜい)《歌083》は院の歌壇で華々しい活躍をし、院が讃岐に送られた後も交流を持っていたという。無念のうちに生涯を終えた崇徳院の怨霊にまつわる話は多いが、それもこの歌が激情的な性格を後の世に伝え続けてきたからではないだろうか。
The town of Kamakura, where is the great bronze image of Buddha Amida, was built by this Emperor, who reigned A.D. 1124-1141; he was then forced by his father, the ex-Emperor Toba, to abdicate in favor of his brother, the Emperor Konoye: afterwards he entered the church, and died in the year 1164, and exile in the Province of Sanuki. This verse is intended to suggest the parting of two lovers, who will eventually meet again.
崇徳院 すとくいん THE RETIRED EMPEROR SUTOKU
11191164。第75代天皇。諱(いみな)は顕仁(あきひと)。5歳で立太子、即位。22歳で譲位。新院と呼ばれた。鳥羽天皇の第一皇子であるが、父との不和からのちに保元の乱を起こし、戦い敗れて讃岐(さぬき・香川県)に流され、46歳で崩御。
「金葉集」「詞花集」を撰上させた。中古36歌仙の一人で、御集に「久安御百首」があり、「詞花集」などに77首はいっている。

詞花和歌集(しかわかしゅう)

第6番目の勅撰集。藤原顕輔(あきすけ)《歌079》撰。崇徳上皇《歌077》の下命。1151(仁平元)年頃の成立。「金葉集」と同じく10巻で、歌数は409首と勅撰集では最も少ない。曾禰好忠《歌046》・和泉式部《歌056》・大江匡房(まさふさ)・源俊頼らが多く入集。「後拾遺集」期の歌を重視している。古来、玉石混交と評される。藤原教長(のりなが)「拾遺古今」(散逸)、藤原為教(寂超)「後葉和歌集」は「詞花集」を批判した撰集。
 ──『山川 日本史小辞典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。







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