2017年4月16日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #045


045
拾遺・巻十五
Shui(waka)-shu, vol.15
love
もの云ひ侍(はべり)ける女の後(のち)につれなく侍てさらに逢はず侍ければ──一条摂政
no meeting after a woman of changing mind
哀れとも
云ふべき人は
思ほえで
身のいたづらに
なりぬべきかな
あわれとも
いうべきひとは
おもおえで
みのいたずらに
なりぬべきかな
Aware to mo
Iu beki hito wa
Omohoede
Mi no itazura ni
Narinu beki kana.
不憫だと言ってくれるはずの人も思い浮かばないで、私はあなたを恋しく思いながらむなしく死んでしまいそうですよ
I dare not hope my lady-love
Will smile on me again;
She knows no pity, and my life
I care not to retain,
Since all my prayers are vain.
同情もしてくれないあの人へ
一夫多妻の平安の世で、恋人の心変わりを嘆くのは女性ばかりではない。親しくしていた女性に冷たくされ、そのつらさを弱々しく大げさに歌うことで、相手の同情を引こうとする気持ちが見え隠れする。『源氏物語』の若菜や柏木の巻に見える柏木と女三の宮との悲恋のくだりは、この歌の影響が見られる。心労のあまり病にかかり、死期を悟った柏木の心情そのものといえよう。
The real name of the writer of this verse was Koretada Fujiwara; he died in the year 972, and Prince Kentoku is his posthumous name.
Aware to mo means, in conjuction with the next line, ‘that she would give me words of pity’; but aware tomo can also mean ‘to meet as a friend’.
[In spite of the Prince’s fears, the illustration seems to suggest that his lady-love changed her mind, and came to visit him once more.]
謙徳公 けんとくこう PRINCE KENTOKU
藤原伊尹(これただ・これまさ)(924972)。貞信公忠平(ていしんこうただひら)《歌026》の孫で、右大臣師輔(もろすけ)の長男。息子は義孝(よしたか)《歌050》。天禄元(970)年に摂政、翌年に太政大臣と急昇進、正一位を贈られた。
謙徳公は諡(おくりな)。
才智あり、眉目秀麗、歌に秀で、天暦5(951)年に和歌所別当(長官)として後撰集の撰にあたる。「一条摂政御集」という歌集があり、「後撰集」などに38首の勅撰歌がある。

拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)
平安中期、第3番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
100509年成立。20巻。歌数約1350首。撰者は花山院、藤原公任《歌055》の2説がある。風情が可憐で調べはしめやか。歌風としての優雅を完成した。集名は『古今和歌集』『後撰和歌集』にもれ遺(のこ)ったものを拾うの意による。
  ──『日本史事典』

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。
(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年4月15日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #044


044
拾遺・巻十一
Shui(waka)-shu, vol.11
love
天暦御時歌合に──中納言朝忠
at a verse competition in Tenryaku era
逢ふことの
絶えてしなくば
なかなかに
人をも身をも
恨みざらまし
あうことの
たえてしなくば
なかなかに
ひとをもみをも
うらみざらまし
Au koto no
Taete shi nakuba
Naka naka ni
Hito mo mo mi o mo
Uramizaramashi.
逢うということがまったくなかったなら、かえって、あの人を恨んだり、この身の運命を恨んだりはしないだろうに
To fall in love with womankind
Is my unlucky fate;
If only it were otherwise,
I might appreciate
Some men, whom now I hate.
逢えないのは禁じられた恋だから?
まったく逢えない身の上であればまだしも、もしかしたら…という希望を捨てきれずに苦しむ、恋のもの思いである。苦しさゆえに逢えなければよいのにという、逆説的な表現がおもしろい。
解釈は、相手と一度も逢えていないのか、あうことはできたが、その後なんらかの理由で逢えずにいるのかという二説がある。定家は後者と見ていたようだ。とすると、人目を忍ぶ不倫の恋かもしれない。
The writer of this verse was the son of Sadakata, a Minister-of-the-Right, and is said to have died in the year 961. The verse was composed at the instance of the Emperor Daigo, and is apparently written in praise of a life of single blessedness. The translation does not give the full force of the last two lines, which mean literally, ‘I should not dislike both other people and myself too.’
[The illustration shows Asatada walking on the verandah outside his house, perhaps coposing this verse.]
中納言朝忠 ちゅうなごんあさただ THE IMPERIAL ADVISER ASATADA
藤原朝忠(910966)。三条右大臣定方(さだかた)《歌025》の次男。参議を経て応和(おうわ)3(963)年に中納言となる。屏風歌をよみ、和漢の学に秀で、笙(しょう)の名手でもあり、土御門中納言とも呼ばれた。
36歌仙の一人で「権中納言朝忠卿集」という家集がある。「後撰集」に4首など勅撰歌は21首。

拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)

平安中期、第3番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
100509年成立。20巻。歌数約1350首。撰者は花山院、藤原公任《歌055》の2説がある。風情が可憐で調べはしめやか。歌風としての優雅を完成した。集名は『古今和歌集』『後撰和歌集』にもれ遺(のこ)ったものを拾うの意による。
  ──『日本史事典』

源氏物語絵巻、二十帖『朝顔』。土佐光起(1617–1691)筆。バーク・コレクション(メアリー・グリッグス・バーク夫人とメアリー・アンド・ジャクソン・バーク財団の所蔵)
Ilustration of the The Tale of Genji, ch.20–Asagao, traditionally credited to Tosa Mitsuoki (1617–1691), part of the Burke Albums, property of Mary Griggs Burke.
【この著作物は、著作権の保護期間が著作者の没後100年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。このファイルは、パブリックドメインにある平面的な美術の著作物を写真術によって忠実に複製したものです。このような複製はアメリカ合衆国においてパブリックドメインとなります。他の地域では再利用に制限がかかる場合があります。詳しくはReuse of PD-Art photographsをご覧ください。美術の著作物としての原図は以下の理由によりパブリックドメインに属します。このファイルは、著作権法の下での既知の制限 (すべての関連および隣接権を含む) に対して、自由であると認識されています。 (https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja)

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。







2017年4月10日月曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #043


043
拾遺・巻十二
Shui(waka)-shu, vol.12
love
題知らず──権中納言敦忠
untitled
逢ひ見ての
後の心に
くらぶれば
昔はものを
思はざりけり
あいみての
のちのこころに
くらぶれば
むかしはものを
おもわざりけり
Ai-mite no
Nochi no kokoro ni
Kurabureba
Mukashi wa mono o
Omowazari keri.
逢瀬の後の、この恋しい心に比べれば、お逢いする前のもの思いなど、なんとも思っていないのと同じでしたよ
How desolate my former life,
Those dismal years, ere yet
I chanced to see thee face to face;
Twere better to forget
Those days before we met.
逢瀬を遂げていっそう高まる愛情
愛しい女性に初めて逢い、帰ってきた朝に贈った後朝の歌である。逢った後の喜びや、また逢いたいという恋しさは、逢う前のもの思いなどなにも思っていないのと一緒だったと、気持ちの高ぶりを素直に表現し、恋の喜びに胸ふくらませる青年を連想させる。
作者の敦忠は、恋多き貴公子で、芸事に優れた上に、端正な容姿も兼ね備えていた。母は大納言国経(だいなごんくにつね)の妻であった在原棟染女(ありわらのむねやなのむすめ)で、敦忠を妊娠中の彼女を時平(ときひら)が強引に略奪した。よって敦忠は時平の実子ではなく、才色兼備の在原業平一族の地を受け継いでいるのである。
たくさんの恋人のなかのひとりが右近(うこん)《歌038》だった。父時平の代から道真《歌024》による怨念で、「われは命短き族なり。必ず死なむず」(『大鏡』)と公言していた敦忠だが、38歳で亡くなったのは、右近との「誓ひ」を破った罰ともいわれている。
Atsutada was a member of the great Fujiwara family, and is said to have died in the year 943.
[It is interesting to note in those illustrations, as in nearly all old Japanese pictures, that the artist either takes off the roof of the house or removes part of the wall when he wishes you to see what is going on indoors.]
権中納言敦忠 ごんのちゅうなごんあつただ THE IMPERIAL ADVISER ATSUTADA
藤原敦忠(906943)。時平の三男。天慶5(942)年、従三位権中納言となる。本院(ほんいん)中納言、または批把(びわ)中納言といわれた。琵琶(びわ)の名手。右近《歌038》との愛が「大和物語」に見える。38歳の若さで没した。
36歌仙の一人で「権中納言敦忠卿集」がある。「後撰集」の10首など、勅撰集には30首はいっている。

拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)
平安中期、第3番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
100509年成立。20巻。歌数約1350首。撰者は花山院、藤原公任《歌055》の2説がある。風情が可憐で調べはしめやか。歌風としての優雅を完成した。集名は『古今和歌集』『後撰和歌集』にもれ遺(のこ)ったものを拾うの意による。
  ──『日本史事典』

この作品は、作者であるI, Wikiwikiyarouによって権利が放棄され、パブリックドメインとされました。これは全世界的で適用されます。一部の国では、これが法的に可能ではない場合があります。その場合:I, Wikiwikiyarouは、あらゆる人に対して、法により必要とされている条件を除きいかなる条件も課すことなく、あらゆる目的のためにこの作品を使用する権利を与えます。

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まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年4月9日日曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #042



042
後拾遺・巻十四
Go-shui(waka)-shu, vol.14
love
心かはり侍(はべ)りける女に、人に代りて──清原元輔
representing a man whose wife changed her mind
契りきな
かたみに袖を
しぼりつつ
末の松山
浪越さじとは
ちぎりきな
かたみにそでを
しぼりつつ
すえのまつやま
なみこさじとは
Chigiriki na
Katami-ni sode o
Shibori-tsutsu
Sue no Matsu-yama
Nami kosaji to wa.
かたく誓いましたね。お互いに涙に濡れた袖を何度もしぼりながら、末の松山を浪が越えることがないように、ふたりの心も決して変わるまいとね
Our sleeves, all wet with tears, attest
That you and I agree
That to each other we’ll be true,
Till Pine-tree Hill shall be
Sunk far beneath the sea.
確かに誓ったのにお忘れだろうか
『後拾遺集』の詞書(ことばがき)は「心かはり侍(はば)りける女に、人に代りて」とある。心変わりした女性に不実を責める歌を、人に頼まれて作者が代作したものである。
名高い歌枕である末の松山を織り込むことによって、非常に間接的に怒りや失望を表現している。間接的ではあるが、その思いの強さが初句の、「誓ったではないか」と言い切るところに現れている秀歌である。
Motosuke lived towards the close of the tenth century, and was the son of the writer of verse No. 36. The idea of one’s sleeves being wet with tears is a common one in Japanese poetry. Matsu-yama, or Pine-tree Hill, is in Northern Japan, on the boundaries between the Provinces of Rikuchu and Nambu.
[In the illustration the hill with the pine tree on the top appears to be just sinking beneath the waves.]
清原元輔 きよはらのもとすけ MOTOSUKE KIYOHARA
908990。顕忠(あきただ)の子で(一説には春光の子とも)清少納言《歌062》の父。清原深養父(きよはらのふかやぶ)《歌036》の孫。寛和(かんな)2(986)年の正月に肥後守になった。
歌人が輩出した家柄で、和歌所寄人(わかどころよりゅうど)となり、「万葉集」に訓点をつけた。内裏後宮五舎の一つである梨壺(なしつぼ)の五人の一人として「後撰集」の撰集にあたる。36歌仙の一人で、家集に「元輔集」がある。
「拾遺集」に48首をはじめ、勅撰歌は105首と多い。

後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)
第4番目の勅撰集。藤原通俊(みちとし)撰。白河天皇の命で1086(応徳3)年に奏覧、改訂をへて87(寛治元)年に完成。「古今集」以来の仮名序をもち、四季6巻・賀・別・き旅・哀傷・恋4巻・雑6巻の20巻。歌数1218首。雑6に神祇歌と釈教歌をはじめて収録。主要歌人は和泉式部《歌056》(67首)、相模《歌065》(40首)、赤染衛門《歌059》(32首)、能因《歌069》(31首)、伊勢大輔《歌061》(27首)など。女流の進出が目立つ。源経信により勅撰集に対するはじめての論難「難後拾遺」が書かれた。
 ──『山川 日本史小辞典』


動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





2017年4月8日土曜日

百人一首 100 verses by 100 poets #041



041
拾遺・巻十一
Shui(waka)-shu, vol.11
love
天暦御歌合──壬生忠見
at a verse competition in Tenryaku era
恋すてふ
わが名はまだき
立ちにけり
人知れずこそ
思ひ初めしか
こいすちょう
わがなはまだき
たちにけり
ひとしれずこそ
おもいそめしか
Koi su tefu
Waga na wa madaki
Tachi ni keri
Hito shirezu koso
Omoi-someshi ka.
恋しているという私の噂が、早くも世間に広まってしまった。誰にも知られないように、ひっそりと思い始めたばかりだというのに
Our courtship, that we tried to hide,
Misleading is to none;
And yet how could the neighbors guess,
That I had yet begun
To fancy any one?
広まってしまった芽生えたばかりの恋
《歌040》の歌とともに、歌合の逸話で一首。技巧的でなないが、秘めたる思いを素直に表現し、倒置法を用いて余韻を残す。
勝負に敗れた忠見の落胆は大きく、食欲も無くなり、ついには死んでしまったという話が『沙石集(しゃせきしゅう)』などに伝えられる。これが作り話だとしても、身分が低く、歌合にも粗末な装束で現れたという忠見にとって相当悔しかったことは間違いないだろう。
The poet was the son of the writer of verse No. 30, and he is said to have composed the poem on the same occasion as is mentioned for No. 40.
The word omoi in the last line is a ‘pivot-word’, used firstly in connection with the fourth line, meaning ‘I thought’ (nobody knew), and also in conjunction with someshi, where it means ‘I began to be in love’.
壬生忠見 みぶのただみ TADAMI MIBU
生没年未詳。忠岑《歌030》の子。幼名は多々(ただ)、ついで忠実(ただみ)、忠見と改める。幼少時から歌にすぐれ、宮中から召されたとき、家が貧しく乗物がないと返事、竹馬でまいれといわれ「竹馬は節鹿毛(ふしかげ)にしていと弱し今夕(いまゆふ)鹿毛に乗りて参らむ」と詠んだと伝えられる。天徳2(958)年摂津権大目(せっつごんのおおさがん)となる。
36歌仙の一人で「忠見集」がある。「後撰集」に1首、「拾遺集」14首など勅撰歌は36首。

拾遺和歌集(しゅういわかしゅう)
平安中期、第3番目の勅撰和歌集。八代集の1つ
100509年成立。20巻。歌数約1350首。撰者は花山院、藤原公任《歌055》の2説がある。風情が可憐で調べはしめやか。歌風としての優雅を完成した。集名は『古今和歌集』『後撰和歌集』にもれ遺(のこ)ったものを拾うの意による。
  ──『日本史事典』

源氏物語絵巻、五帖『若紫』。土佐光起(1617–1691)筆。バーク・コレクション(メアリー・グリッグス・バーク夫人とメアリー・アンド・ジャクソン・バーク財団の所蔵)
Ilustration of the The Tale of Genji, ch.5–Wakamurasaki, traditionally credited to Tosa Mitsuoki (1617–1691), part of the Burke Albums, property of Mary Griggs Burke.
【この著作物は、著作権の保護期間が著作者の没後100年以下である国や地域でパブリックドメインの状態にあります。このファイルは、パブリックドメインにある平面的な美術の著作物を写真術によって忠実に複製したものです。このような複製はアメリカ合衆国においてパブリックドメインとなります。他の地域では再利用に制限がかかる場合があります。詳しくはReuse of PD-Art photographsをご覧ください。美術の著作物としての原図は以下の理由によりパブリックドメインに属します。このファイルは、著作権法の下での既知の制限 (すべての関連および隣接権を含む) に対して、自由であると認識されています。 (https://creativecommons.org/publicdomain/mark/1.0/deed.ja)

動画の見方、ブログの読み方などの説明をしましょう。
まず、朗詠音声はプロのもので、左大臣光永さん(http://ogura100.roudokus.com/)による朗詠です。
BGMとして使用させていただいた曲は、雅楽『平調 越天楽』というもので、クラシック名曲サウンドライブラリーさん(http://classical-sound.seesaa.net/)からダウンロードしました。
動画では多くの画像を組み合わせています。
以下の画像をご参照ください。

(クリックすると拡大画像がご覧いただけます。)
まず右上の画像を見てください。
これは動画中の和歌部分の画像です。
各記号の示すものは以下のとおりです。

A…作品番号 number of the verse
1…作者 poet
2…作者肖像画 portrait of the poet
『錦百人一首あつま織』勝川春章(1775年)"Nishiki Hyakunin-isshu Azuma Ori" by Shunsho Katsukawa (1775)/国立国会図書館(http://www.ndl.go.jp/)(※#002除く except #002
3…作者肖像画 portrait of the poet
『今様百人一首吾妻錦』永楽屋東四郎(江戸時代後期?)"Imayo Hyakuninn-Isshu Azuma Nishiki" by Toshiro Erakuya (late Edo era?)
C…出典 origin
D…部立 category(左下画像参照 see the image of left down
それぞれの色は平安時代女房装束のかさねの色です。
四季はそれそれの着用時期に合わせたもの、恋・旅・他は通年での着用の色。
E…詞書 description
F…イメージ画像 image picture of the verse
基本的に明記されていないものはすべてPhoto Libraryさん(https://www.photolibrary.jp/)の写真です。
歌に詠まれた事象がメインですが、時刻、時期、場所などは歌の内容とは異なる場合がありますので、あくまで歌の世界を堪能する助けとして見てください。
当然ながら歌の詠まれた当時の写真ではありません。
なかには現代社会が映りこんでいるものもあります。
なお、恋の部立などの象徴的なものに関しては、独断でそれらしいものを選んでいます。
G…歌意イメージ画像 image picture of the meaning of the verse
英語の解説書にあった画像ですが、題名・作者など一切不明です。
18世紀の木版画とありますが、著者のWilliam N. Porter氏も作者はわからなかったようです。
(英語では画像について説明されている歌もありますが、日本語はありません。)
Sentences in [ ] describe about the picture.

右側の画像はブログの表に関してです。
この画像に用いている色は各部分を区別するためのもので、特に意味はありません。
黄色のアルファベットは動画のものと対応しています。
詳細は上記を参照願います。
緑のアルファベットはブログのみです。
H…歌 verse
これなくしては成り立たないので、当然動画にも入れています。
左:漢字かな表記(歴史的仮名遣い) LEFT: Kanji + Hiragana (old writing)
漢字を使っているもの、かなを使っているもの、漢字も異なるもの、かなりのヴァリエーションがありますが、個人的に見て美しいものを選んでいます。
中:ひらがな表記(現代仮名遣い) MIDDLE: Hiragana (modern writing)
右:ローマ字表記 RIGHT: rōmaji
I…歌意 meaning of the verse
日本語:『一冊でわかる百人一首』吉海直人・監修(成美堂出版)のものを採用しています。
English: from "A Hundred Verses from Old Japan: a translation of the hyaku-nin-isshu" by William N. Porter (TUTTLE PUBLISHING, 1979, first edition 1909 by The Clarendon Press, London)
J…解説 explanation of the verse
同上
same as above
K…作者について about the poet
Sorry.
No English.
Some have description by Mr. William N. Porter in J section.

余談ですが、動画の和歌部分上下の千代紙柄、背景の和紙素材はAC Worksさんの提供による素材を使っています。





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